政府は、東京23区内の大学において、定員増を原則として認めない新たな法規制を設ける方向で検討に入った。
若者の東京への一極集中を是正し、地方の活性化を図る狙いだ。6月に閣議決定する予定の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に盛り込み、来年の通常国会にも関連法案を提出する見込み。新法の制定を視野に入れている。
定員規制では、学部を新設する場合でも全体の定員を増やさないよう、既存の学部の改廃を義務付けるよう検討している。
23区内の大学に通う学生数は過去10年間ほぼ一貫して増え続け、昨年度は全国の大学数に占める割合の18.3%に上った。23区の人口(2015年)は日本の人口の7.2%で、これを大幅に上回っていることがわかる。経営基盤強化を図りたい東京の大学は、少子化を受け定員を増やす傾向にある。都内大学の定員数は、大学に進む高卒者数の2倍に達し、定員充足率も10割を超えているのが実情だ。
一方、地方の大学では定員割れが相次ぎ、三大都市圏以外の私大では昨年度までの5年間もの間、定員充足率が9割台にとどまっている。このため、政府関係者は「東京の大学が結果的に地方から若い世代を奪っている」という見解を示していた。
有識者会議の中間報告ではこのほか、(1)地方へのサテライトキャンパスの設置 (2)東京と地方の大学間での相互単位制度の促進など、若者の東京一極集中に歯止めをかける方策を提言する。また、地府大学の振興策として、自治体や地元産業界との連携して進める財政支援も盛り込まれる見通しだ。