東京一極集中の是正については、厳しい状況が続いている中、国としては東京圏から地方への新たな「ひと」の流れをつくることにより、東京一極集中の是正を図っている。
主な取り組みとしては、地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者が地元企業等に就職した際の奨学金の返還支援、「生涯活躍のまち(日本版CCRC)※」の推進、地方創生インターンシップ事業などの取組を推進するとともに、地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取組を積極的に支援してきた。
地方創生に資する大学改革については、地域に真に必要な特色ある大学の取組が推進されるよう、産官学連携の下、地域の中核的な産業の振興と、その専門人材育成等に向けた優れた地方大学の取組に対して重点的に支援していく。今後18歳人口が大幅に減少する中、学生が過度に東京へ集中している状況を踏まえ、東京(23区)の大学の学部・学科の新増設を抑制することとし、そのための制度や仕組みについて具体的な検討を行い、年内に成案を得る予定だ。
また、東京圏の大学の地方へのサテライトキャンパスの設置や、学生の地方圏と東京圏の対流・還流を推進することにより、若者の流動性を高め、地方と触れ合う機会を拡充する。地方における若者雇用の創出のため、地元企業等に就職した者の奨学金返還支援制度の全国展開や地方創生インターンシップの推進などの取組を更に進める。
【具体的取組として】
◯首長の強力なリーダーシップの下、地域の産業ビジョンや地域における大学の役割・位置付けを明確化し、組織レベルでの持続可能な産官学連携体制の構築を推進する。その上で、地方大学が、産官学の連携の下、地域の中核的な産業の振興とその専門人材育成等の振興計画であって、「地方版総合戦略」に位置付けられたものを策定する場合、モデルとなる先進的な取組については、有識者の評価を経て、当該取組に対して重点的に支援する。
◯地方大学間の域内連携のみならず、地方大学と東京圏の大学や研究開発法人との連携を積極的に進める。
◯4年制大学以外の高等教育機関の活用に加え、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関(「専門職大学」等)」制度を活用した取組を推進する。
生涯活躍のまち(日本版CCRC)については、地域再生法(平成17年法律第24号)に基づく特例措置(平成29年3月時点で13市町の「生涯活躍のまち形成事業」を盛り込んだ地域再生計画を認定)や地方創生交付金を活用した取組を進めている地方公共団体は増加傾向にある。
一方、そうした取組を進める上で人材・ノウハウの不足が課題となっている。このため、各地方公共団体の取組が一層円滑に進むよう、好事例やノウハウを収集し、提供するとともに、地方公共団体ごとの取組の特徴、課題に応じたきめ細かな支援を行うなど、KPI(取組を進めている地方公共団体数:100団体)の達成に向けて、「生涯活躍のまち」づくりを一層強力に支援していく。
【具体的取組】
◯「生涯活躍のまち」の運営・推進を担う人材の研修カリキュラムや事業運営の参考となるビジネスモデル等を盛り込んだマニュアル、経済効果や財政影響に関する分析、地方公共団体や事業者が取組を進める上で参考となる事例集を平成29年3月に取りまとめ、公表したところである。今後、これらの支援ツールを活用しながら、好事例やノウハウを紹介するなど、「生涯活躍のまち」構想を推進する意向のある地方公共団体の取組が一層円滑に進むよう、支援を行っていく。
◯「生涯活躍のまち形成支援チーム」の対象地方公共団体を拡大し、関係府省が連携して、「生涯活躍のまち」実現に向けた取組を支援する。また、有識者等の参画も得て行う現地における関係者との意見交換等を通じて、各地域における取組の特徴、課題等を把握し、整理・類型化した上で、それぞれの類型に応じたきめ細かな支援を行っていく。
今後は、地域イノベーションの創出等を目的とした研究機関等の地方移転、移住・定住の推進策等を進めるに当たっての地方生活の魅力の発信など、新たな取組を進めるとともに、国土強靱化など、安全・安心に関する取組とも調和を図りながら、これまでの取組の深化等を図っていく。
※CCRC:「Continuing Care Retirement Community」の略称。
参考:
まち・ひと・しごと創生基本方針 2017
生涯学習政策局関係部分抜粋