福岡県官民データ連携基盤のイメージ図
株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび福岡県と県内市町村、および民間企業での共同利用を前提とする官民データ連携基盤を構築しました。本基盤は、本日より稼働します。
福岡県として取り組む初めての官民データ連携基盤であり、県内市町村との共同利用や福岡県でのサービス展開を前提とし、複数の地域や分野をまたいで自治体や民間事業者が必要な時に必要なデータを円滑に相互利用できることをめざします。
本基盤を活用した具体的なサービスとして、まずは、住民が避難所・保育所・公共施設などの複数分野にわたる施設情報を同一の地図形式で確認できる「福岡県ダッシュボードサービス」と、自治体の職員がふるさと納税関連の情報を可視化しAIを活用してデータを分析できる「ふるさと納税可視化・分析サービス」を実装します。今後も、地域が持つデータの連携と利活用により、県内広域でのデジタル化を支援することで、より便利で豊かな県民生活の実現に貢献していきます。
背景
福岡県では少子高齢化や生産年齢人口の減少が進み、今後経済の停滞や労働力不足などさまざまな社会的・経済的な課題がより深刻化していくと考えられています*1。多様な生活ニーズや価値観に寄り添うサービス提供を維持するためには官民データ連携基盤の構築が必要ですが、構築や運用における負担が大きいことから単独での整備が困難な市町村も存在します。そのため、今回、福岡県が県内市町村と共同利用する官民データ連携基盤の構築に至りました。
なお、国としても、2024年6月に「国・地方のデジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」*2が閣議決定され、都道府県が域内市区町村とのデータ連携基盤の共同利用促進に向けた動きを主導することが望まれています。今回の福岡県官民データ連携基盤もこの基本方針に沿ったものとなっています。
*1 福岡県「福岡県DX戦略」(概要版)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/626339_61201044_misc.pdf
*2 内閣官房「国・地方のデジタル共通基盤の整備・運用に関する基本方針」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/pdf/houshin_honbun.pdf
福岡県官民データ連携基盤の特長
本基盤は、「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ」*3に準拠し、国が推奨するモジュールを利用しています。機能拡張がしやすいビルディングブロック方式とともに標準的なインターフェースやデータ形式を採用しているため、今後見込まれる県外のデータ連携基盤などとの連携も考慮した相互運用性が高いものとなっています。また、日立のデータ連携基盤サービスのほか、汎用性の高いBIツール、オープンデータ接続サービスなど自治体で導入実績がある既存システムを組み合わせています。ほかにも、住民や自治体職員が使用する「福岡県ダッシュボードサービス」や「ふるさと納税可視化・分析サービス」の2つのサービスを、1つの共通ダッシュボード基盤の上に実装するなど、システムを管理・運用する自治体職員の負担を軽減する仕組みになっています。
*3 内閣府「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ第2版」に準拠
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/smartcity/architecture.html
(1)福岡県ダッシュボードサービス
「福岡県ダッシュボードサービス」は、複数のオープンデータをWeb上で視覚的に分かりやすい地図形式で把握できるサービスです。主に県内の住民の利用を想定しており、2025年4月時点では、福岡県内の避難所・保育所・公共施設といった複数分野の施設に関する情報を連携して、Web上のダッシュボードから地図形式で見ることができます。例えば、災害時に迅速に避難できる施設を検討する場面や、子育て世代の住民が引っ越しの際に居住地域を選ぶ場面などで利用できます。
本サービスは、公益財団法人 九州先端科学技術研究所が運営する BODIK*4 と連携しており、オープンデータを効率的に収集できる仕組みを備えています。これにより、自治体職員の運用負担が軽減されるとともに、住民は最新の情報を活用しやすくなるといったメリットがあります。
*4 ビッグデータ&オープンデータ・イニシアティブ九州の略で、「誰もが自由に利用できるデータの公共財を増やし、データを活用した地域課題の解決や新たなサービスの創出を促進する」ことを目的として、九州先端科学技術研究所(ISIT)が推進する取り組み。
BODIKについて | オープンデータ BODIK公式サイト|九州先端科学技術研究所
https://www.bodik.jp/about/
(2)ふるさと納税可視化・分析サービス
「ふるさと納税可視化・分析サービス」は、ふるさと納税の寄附データなどを官民データ連携基盤に連携し、可視化・分析することで、その結果をもとに需要予測やプロモーションなどを検討できるサービスです。県および県内市町村におけるふるさと納税業務の最適化や効率化を支援します。本サービスでは、各市町村が持っているふるさと納税のデータや、複数あるふるさと納税のポータルサイトのデータやPR実績データをもとに、寄附金額推移(年、月別)、寄附者属性(年代、居住エリア別)、返礼品カテゴリー別申込推移、PR効果(PR実績と申込データの重ね合わせ)といった情報を可視化できます。さらに、AIを活用した解析機能では、返礼品の需要予測なども可能です。
将来的には、ふるさと納税データのほか観光や移住などの多様なデータとも相互連携し、データの利活用を促進することで地域の魅力を向上させ、地域力創造の重要な要素である関係人口の増加(福岡県のファンを増やすことなど)に寄与することをめざしています。
今後の展開
今後日立は、本基盤を利用する県内市町村の増加や、民間企業とのデータ連携促進など、福岡県が取り組む県内広域での官民データ利活用を支援し、より便利で豊かな県民生活の実現や、さらなる地域の魅力向上に貢献していきます。また、他自治体においてもデジタル技術を活用したまちづくりを推進し、便利で快適な人々の暮らしの実現を支援していきます。
福岡県企画・地域振興部 情報政策課 デジタル戦略推進室からのコメント
福岡県では、少子高齢化や生産年齢人口の減少などの社会課題に対して、デジタル技術の活用によるさまざまな施策を推進してきました。今後の継続的な成長と発展に向け、このたび、行政と民間の官民データ連携が可能となる基盤を、日立と稼働します。今後も県民の皆さまが笑顔で安心して暮らしていける福岡県をめざし、デジタル化・DXの取り組みを推進していきます。
日立のデータ連携基盤サービスについて
http://www.hitachi.co.jp/app/data_integration_pf
日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。
お問い合わせ先
森下 理帆 、 北原 大暉 株式会社日立製作所 公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタ https://www.hitachi.co.jp/public-it-inq/