地方移住をご検討の方へ、知っておきたい起業支援制度を紹介!
浅賀 桃子
2017/04/04 (火) - 08:00

地方移住を検討するにあたり、ネックになることはやはり「生活費」や「仕事」の問題ではないでしょうか。移住先で現在と同様の仕事を続けられるか、新たな仕事をみつけられるかといった心配から、なかなか移住を決断できないという方の声をよく耳にします。本稿ではこれらのネック解消につなげられる可能性が高い「起業支援制度」についてご紹介します。

なぜ「起業」なのか

これまで慣れ親しんだ土地を離れるだけでも不安なのに「起業」だなんて、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、移住先での支援を受けるにあたっては新たな会社を探して再就職する(=雇用される)よりも、起業するほうがより充実した支援が期待できることをご存知でしょうか。地方創生のためには、新しい雇用を作り出すことが不可欠です。地方で起業しその企業が発展することによって新しいビジネス・雇用の誕生を期待し、起業対象者への支援を行っているのです。

自治体の創業支援制度例

以下に各自治体が行っている創業支援制度の例をいくつかご紹介します。

・茨城県笠間市

笠間市で事業を行うにあたり、新たに市内に土地を取得し、3年以内に操業開始することを条件に、用地取得補助金として最大5億円が支給されるという「企業立地促進事業補助金」制度が設けられています。また、対象企業に雇用される笠間市民の従業員に対しても家賃補助金(家賃の半額以内、企業操業開始から最大3年間)を支給する制度も活用でき、企業だけでなく従業員にもメリットがあります。

・宮城県登米市

登米市では、2014年度より起業・創業支援を強化しています。「ふるさと創生ベンチャー起業支援事業」として、従業員の人件費や店舗等借入費、設備費など最大240万円を創業時支度金として交付する制度や、運転資金・設備投資資金として1,000万円を上限に低利での融資を実施する制度などがあります。また、経営初心者のための専門家による個別相談が無料で受けられるなど、立ち上げ直後の不安を和らげることができるでしょう。

・秋田県

総務省発表の「住民基本台帳に基づく人口動態調査」(※1)によると、人口減少率全国1位は秋田県となりました。前年からの増減率全国平均は△0.12%ですが、秋田県は△1.28%と深刻な人口減になっています。前年の増減率も△1.28%と、減少傾向に歯止めがかからない状況が続いています。

この現状を受け、秋田県では「Aターン起業」を推奨しています。Aターンとは、Uターン・Iターン・Jターンを総称した「Allターン」と、秋田(Akita)のAをかけて作られた言葉です。秋田県内における起業支援事業費補助金募集要項(2016年度)の中には通常枠とは別に「Aターン起業・移住起業枠」が設けられています。募集締め切り前後1年以内に起業した方を対象に、設備費や人材育成費、広告宣伝費、人件費などの助成が受けられるという制度で、Aターン枠は通常枠よりも助成金額が上乗せされています。2017年度の募集は記事執筆(2017年3月24日)時点では未定ですが、県を挙げて取り組んでいるだけあり、2017年度も同様の補助金募集がある可能性が高いと思われます。

地方での起業に向けて

「地方移住したタイミングで脱サラして起業したいが、どのように準備をしたらよいか分からない」。このような不安をお持ちの方に、地方での起業の方法などをサポートする「起業塾」があります。

・ふくしま6次化創業塾

福島県では、農林水産資源を活用したビジネスの企業方法などを学ぶ目的でスタートし、2016年で7年目を迎えた「ふくしま6次化創業塾」を開催しています。「6次化」とは、原材料を生産する「1次産業」から、加工・商品化する「2次産業」、そして商品を流通・販売する「3次産業」の相乗効果(1×2×3=6)のことを指します。それぞれの産業の強みを活かしながら他産業とも融合しながら、独自の付加価値を作り上げていくことで地域活力が増進されるという「6次産業」化による起業・創業を目指していきます。自己負担額は交通費や飲食費のみで、受講料は無料で行なわれています。2017年の募集も2016年同様に出される可能性が高いといえます。

・ふるさと起業塾

NPO法人ふるさと回帰支援センターでは「ふるさと起業塾」を北陸・関東・中国・九州の全国4ブロックで開催しています。先述の6次産業起業に向けた企業基礎講座や地域特色講座、さらに実際に事業計画・経営計画などの起業プランを作成するところまで含んだ50時間にわたる研修が受講料無料で受けることができます。

上記でご紹介したような起業・創業支援制度は、定期的に募集をしていなかったり、定員が早々に埋まってしまったりする可能性もありますので、関心のある方は先述のNPO法人のホームページ(※2)などで定期的に情報を集めることをお勧めします。活用できる制度は積極的に使い、地方での起業を夢で終わらせないようにしていきましょう。

※1 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数 平成28年1月1日現在 総務局
http://www.soumu.go.jp/main_content/000428775.pdf

※2 認定NPO法人ふるさと回帰支援センター
http://www.furusatokaiki.net/

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