鳥取県のほぼ中央に位置し、豊かな自然に恵まれている湯梨浜町。その名の通り、豊かな温泉、生産量日本一を誇る二十世紀梨、日本海に広がる砂浜が魅力的なまちです。湯梨浜町長の宮脇正道さんに湯梨浜町の現状と課題と政策、まちづくりへの想いなどについてお話をうかがいました。
湯梨浜町はどのようなまちでしょうか。
湯梨浜町は、平成16年10月に羽合町（はわいちょう）・泊村（とまりそん）・東郷町（とうごうちょう）の３町村が合併してできたまちで、人口は約16,000人、面積は77・93㎢のコンパクトなまちです。「東郷湖底から湧き出る温泉、日本一の二十世紀梨の産地、日本海に広がる白砂青松の砂浜と漁港」という、町の特色をイメージして、公募により「湯梨浜町」と名づけられました。
まちの中央部には「東郷湖」があり、その美しい景観は「美しい日本のむら景観百選」に選ばれています。湖周には「はわい温泉」、「東郷温泉」があり、日本初の国民宿舎である東郷温泉宿「水明荘」は教育旅行などに利用されています。
東郷池
また、鳥取県と中国河北省の友好提携5周年を記念して開園した、国内最大規模の本格的な中国庭園「燕趙園」やスポーツアリーナもある県立都市公園「東郷湖羽合臨海公園」など、さまざまな施設があります。
湯梨浜町の魅力について教えてください。
平野部では稲作、スイカ、イチゴ、メロン、ブドウなどの果物栽培が盛んで、南部及び東部の丘陵地では二十世紀梨の栽培が知られていますが、近年では、新甘泉（しんかんせん）という鳥取オリジナルの梨も生産しています。甘味が強く人気がありますし、収益性も高い梨です。
二十世紀梨百年樹
「倭文神社（しとりじんじゃ）」へ続く参道の安産岩・夫婦岩、北山古墳や狐塚古墳（前方後円墳）、羽柴秀吉が中国攻めの際、布陣したとされる十万寺城跡など、歴史的、文化的遺産が多いことも魅力です。
また、国の協力を得て開発されたグラウンド・ゴルフの発祥地でもあり、今や全国300万人以上の人々が楽しむスポーツになりました。スポーツは誰でもできますし、健康にもよく、今、国際化プロジェクトを進めているところです。将来的にはスポーツツーリズムのような形で国際交流が図れたらと夢みています。
その他、ドラゴンカヌー大会や卓球大会、「ゆりはま天女ウオーク」や「めぐる・食べる・つかる」をコンセプトにした「ＯＮＳＥＮ・ガストロノミーウォーキング」など、多様なスポーツイベントを開催する活動的なまちです。
こうした観光資源を磨き、魅力のあるまちにしようと努めています。
ウオーキング（四つ手綱）
湯梨浜町が力を入れている施策を教えてください。
湯梨浜町の人口は減少傾向にあり、子育て支援に力を入れています。例えば、子育て世代の夫婦を対象に住宅取得費用の一部（限度額50万・60万円）を助成したり、人工授精の治療費の一部を助成したりするなど、いろいろな施策に取り組んでいます。
また、健康づくりの一環として、「ゆりはまヘルシークラブ」や公民館の分館にトレーニングルームや多目的ルームを設置するなど、スポーツによる健康づくりに本格的に取り組んでいます。
特徴的なのが「鬼嫁」です。松崎地区で、地域振興に奔走する女性のグループで、定期的にまちの課題について話し合い、まちの活性化に貢献していただいています。
その他、産業振興として、ビニールハウスを解体し設置し直すための補助金制度など、みんながやりがいをもって行っていることは、惜しみなく応援したいと思っています。
湯梨浜町全体の課題を教えてください。
第一産業の後継者不足で維持が難しくなっており、対策として新たに梨団地をつくるなどしています。従来の梨団地は、日当たりや水はけを考えて斜面につくっていたのですが、平地でも美味しい梨をつくれるように改善し、新しい梨生産にかかわる方に入植していただいています。
また、人口の地域格差も大きな課題です。羽合地域は人口が増えて、学校のクラスも増設しているのですが、泊地域や東郷地域（令和4年、新たに過疎地域に指定）は人口が増えず、維持していくことが難しくなっています。
町内の企業においては、事業承継や、商店の衰退が課題です。ガソリンスタンドや食料品店など、さまざまな商店の利用客が減っている状況です。
都市圏在住の「地域で働きたい」という意思があるプロフェッショナル人材への期待を教えてください。
どのような形でもよいので、ご指導いただき、持続的につながっていければと思います。湯梨浜町では、特にICT関連の方やスクールカウンセラー、保育士不足に悩んでいます。保育するための建物はあるのに、保育士がいないため、子どもを預かれない問題が生じているのです。こういった専門職不足の課題をプロフェッショナル人材と解決していきたいと思っています。
最後に、湯梨浜町に興味のある方へメッセージをお願いします。
湯梨浜町にかかわって、何かを取り組んでくださるということであれば、積極的に支援させていただきますので、よろしくお願いいたします。
水郷祭花火
