働きながら生活をするうちに、どんな人でも知らず知らずにたまっていくのがストレスです。今回は、運動する、食生活に気をつける、自律神経をリラックスさせる、睡眠など、身体に直接働きかけストレスを軽減する効果的な方法を紹介しましょう。
1.運動で身体を動かす
まず、1つ目は、運動して身体を動かすことです。フットサルやテニス、ゴルフなど自分が熱中できる好きなスポーツに取り組むことも、気晴らしの効果があり、ストレス解消に役立ちますが、激しい運動を月に1回しかしない、というような行い方をすると、身体的にあまりよくないことがわかっています。
ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳のような一定のリズムで継続して行う運動をすると、心の安定に役立つ神経伝達物質であるセロトニンの分泌が活性化しやすくなります。また、身体が温まり、血液の循環がよくなり、筋肉の緊張もゆるんできます。そのため、リラックスにつながりやすくなります。自分が心地がよいと感じる速度や時間で適度に身体を動かす運動を続けるとより効果的です。
2.食生活を見直す
また、人の身体を作る上で重要な食生活を意識し、ストレスに強い栄養素が含まれる食べ物をきちんと取ることで、免疫機能を高め、ストレスを軽減でき、うつ病などのメンタルを崩す病気の予防にも非常に効果的なことが研究により明らかになってきています。以下の栄養素は、代表的なストレス軽減に役立つものです。
・カルシウム:イライラを抑え、精神を安定させる効果があります。
納豆などの大豆類、チーズ、干しエビやしらすなどの小魚類に多く含まれます。
・マグネシウム:カルシウムの働きを調整し、神経過敏を抑制する効果があります。
アーモンド、落花生、大豆、ひじきなどに多く含まれます。
・ビタミンA:抗酸化ビタミンと言われます。体内に発生する活性酸素を除きます。
うなぎ、レバー、かぼちゃ、にんじんなどに多く含まれます。
・ビタミンB1:脳のエネルギーを作るブドウ糖の代謝に必要です。
豚肉、玄米、ホウレン草、マグロなどに多く含まれます。
・ビタミンB6:脳や神経伝達物質の生成に大きく働きます。
マグロ赤身、サンマ、サバ、鶏ささみなどに多く含まれます。
さらに、精神を安定させるために役立つセロトニン、GABAなどの神経伝達物質の合成に必須なビタミンB6やビタミンCは腸内で作られますので、腸内にフローラと呼ばれる様々な腸内細菌がきちんとあることが重要です。それには、野菜から多く取られる食物繊維が必要なのです。
3.自律神経を整える
次に、運動や食生活とも密接に関わる内容ですが、自律神経を整え、睡眠時に活動しホルモンの分泌などの働きをする副交感神経をきちんと作用させることも重要です。自律神経には起きているときに活発になる交感神経と副交感神経があります。たくさんの情報に囲まれ、多くの外界からの刺激を受け続けている現代の私たちの神経は、常に交感神経が働いている状態になりがちです。夜遅くまでネットやスマホを見ていると頭が活発に動いている感じからなかなか抜け出せず、夜眠れなくなってしまうのはそのためです。自律神経のバランスを正常に保ち、夜には副交感神経が優位に働いてリラックスの状態に入れるようにすると、ストレスも軽減され、深い眠りに入りやすくなります。
まず、一番簡単にできるおすすめの方法は、呼吸法です。夜寝る前などに、次のような深呼吸を10回繰り返して毎日行ってみてください。リラックスできる姿勢で座って行うとよいでしょう。
1.息をお腹がへこむようにすべて吐き出す。
2.鼻からゆっくり1,2,3,4と数えながらいっぱいに息を吸う。
3.1,2と息を止める。
4.口からゆっくり1,2,3,4,5,6,7,8と数えながら息を吐く。
そのとき、息を吸ったり吐いたりすることだけに集中し、他のことは考えないようにします。
自分の今行っていることだけに集中する、というのは、思考を脳の中から一旦排除し、何も考えない状態を作るマインドフルネスという方法の一種でもあります。同じくヨガも自律神経を安定させるのに効果的な方法です。
4.質のよい睡眠をとる
最後は、睡眠です。最近睡眠は寝貯めすることができず、毎日しっかりと取らないと身体に悪い影響を与えるという「睡眠負債」と言われる考え方が広まってきましたが、人は一定時間以上の睡眠をとらないと、脳の働きが低下し、精神的にも不安定になっていきます。「よく眠れない」という人は、運動をして肉体を疲れさせて眠るようにすることや、身体の体内時計を作用させるために、朝きちんと日光の光をあびることがまずは効果的です。もちろん睡眠時間を確保できるように生活することも大切です。
ストレス軽減というと、メンタルに働きかける方法ばかりを思い浮かべがちですが、このような身体自体への働きかけで大きく解消することもできるのです。長い人生、生き生きと暮らすためにも、ぜひ生活をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。