派遣など仕事を何度も繰り返しており転職回数が多い人は、一般的に人材エージェントに登録しにくく、応募書類が通りにくい傾向があります。今回は、そういった方に向け、効果的な応募書類の書き方を解説しましょう。
会社ごとに書く形式を止める
まず、最初におすすめしたい方法は、職務経歴書を会社ごとに書かない、というものです。一般的によく行われている職務経歴書の形式では、7社、8社など多くの会社を年代順に羅列する書き方になってしまいます。採用側は、多くの応募書類を一人数分という短い時間で見るのが通常ですので、たくさんの会社が年代別に書いてあると「何年にどこに入社した」「退社した」というような事実のみがパッと目についてしまい、その人が何をどう努力して実行してきたのかが分かりにくいと感じてしまいがちです。そのため、転職回数が多い人だな、という印象だけが残り、書類選考に通りにくくなるのです。
そこで、「キャリア式」といわれる書式を使うようにしましょう。経験した仕事を職種で分類し、職種ごとに担当した内容や努力して取り組んだことを伝えるようにした形式のことです。
たとえば、Aさんは、全部で8社の経験があります。営業職の経験が2社、管理事務の仕事が3社、店舗での販売、マネジメント職の経験が2社、コールセンターの仕事が1社です。この場合、8社全部についていちいち社名、勤務年月、職種、担当業務などを書くのではなく、<営業職 2社 4年2ヶ月>のようにまとめて延べ年数で伝えるのです。
担当した業務内容も両方を合わせたもので記入しますし、主に取り組んできた内容も、同じ職種の会社の経験のなかから選んでエピソードを伝えるようにします。これによって、取り組んできた内容で似かよったものが整理され、多くの転職のイメージが、ある程度まとまった経験年数として相手に分かりやすく伝わるようになります。
応募する仕事にあまり必要ない職種は書かない
次に、職務経歴書には主に伝えたい職種を記入し、応募する仕事にはそれほど関係がなく、あまり伝える必要のない職種は書かない、という方法も使いましょう。ただし、履歴書については仕事を時系列で古い順から書く必要がありますし、一番最近の仕事を省くわけにはいかないので、そこは必ず説明するようにします。
たとえば、先ほどのAさんですが、志望する仕事は総務の管理職でした。この場合、管理事務の仕事、店舗のマネジメントの仕事は関連づけて伝えたい仕事です。一方で、営業職はずっと前に3年ほど行っただけなので書かないことにし、コールセンターの仕事はマネジメントや人材育成にも携わっていたので、記入するようにしました。
このように、志望の会社、仕事によって何の職種を伝えるかを変えて職務経歴書を作成すればよいのです。
退職理由はどこかには書く
次に大切なのは「退職理由はどこかの書類には記入する」ことです。よく「〇〇株式会社 退社」とだけしか履歴書にも記入しない人がいますが、採用側はかえって「隠したいことがあるのかな?」と思ってしまいます。自己都合なのか会社都合なのか契約満了なのかは少なくとも履歴書か職務経歴書に記入するようにしましょう。直近の仕事については、志望動機などにある程度理由を簡潔に書くようにしてください。
もちろん、前職の悪口にならないように、ネガティブな気持ちなどを書かないようには気をつける必要がありますが、理由を何も伝えないということは避けるようにしましょう。
一貫性を見つける
最後のやり方の工夫は、今まであなたが仕事で経験してきたことや考え方の中に一貫性を見つけ、それを採用側に伝えるというものです。さまざまな職種を経験してきた人は、職種、というなかでは共通して行ってきたことを説明できないでしょう。ただ、自分のなかで一貫して大切に思ってきたことや、やりがいだと思ってきたこと、仕事の姿勢、などの自分の軸といえるものには、何か共通点があるのではないでしょうか。それを探し出して相手に伝えるのです。
たとえば、Aさんの場合、営業、事務管理、店舗での販売やマネジメント、コールセンター対応と多くの職種を経験してきていますが「主体的に自分で仕事を見つけ取り組む」ことはずっと行ってきたことでした。そこで「私は18年間に渡って多くの職種を経験してきましたが、そのなかで一貫して当事者意識をもち、主体的に自分で仕事を見つけて取り組むことを大切にしてきました。前職では…」というような説明を【経験要約】という項目の中に入れて伝えるようにしたのです。
まとめ
いかがでしたか? 私は、キャリアコンサルタントとしていままでに何千通もの応募書類を見てきましたが、このような工夫で自分の経験やできることを具体的に説明していくと、応募書類がどんどん通過するようになっていくのを何度も見てきました。エージェントを通すのか、公開の求人に直接応募するのかでも違いはありますが、ぜひ今までの自分とは違ったやり方も試してみてください。大切なのは「採用側の視点」で考え伝えるということなのです。