いまの経験、スキルはAIにとってかわるものですか?
木下 眞由子
2017/12/19 (火) - 07:00

ここ数年、人工知能やAIという言葉が飛び交い、IT系の企業においてはAI技術をいかに加速させていくかしのぎを削っています。技術の進歩と進化は思った以上に早く、生活の一部に溶け込んでいます。そして、人工知能に置き換えられてなくなっていく職業のニュースや記事も多く見られます。「きっといつかあの仕事もなくなるのだろうか…」「私の仕事はまだ大丈夫」と、安穏と思っていませんか?

私たちの生活に、溶け込むAI

冒頭に記述した通り、じわりじわりと機械やロボットに置き換えられているものがあります。たとえば、身近なところでいくと、スーパーのレジも、人ではなくてセルフレジが普及してきました。

ホテルの受付がロボットだというホテルもテレビで紹介されていました。
ちょっとしたイベントの案内をロボットが行う姿をよく見かけるようになりました。
自動車の自動運転化。それによってタクシー運転手さんがいらなくなるのではないか?
指をかざせば、ネイルが自動的に施される仕組みもできるかもしれません。そうすると、ネイリストという職業は必要なくなるかもしれません。
不動産も、マッチングシステムの精度が上がれば、仲介の人はいらなくなるのかもしれません。銀行においても同じようなことが想定されます。これはあくまでも、想像ですが、想像の域を超えて、既に機械や人工知能、ディープラーニングといったものは、どんどん私たちの生活の中に入り込んでいます。弁護士や裁判官ですら、AIに置き換えられるのではないかともいわれています。

では、そんな世の中で、私たちはどうやって仕事をしていけばいいのでしょうか? 全ての仕事はロボットが行うのでしょうか?

AIに仕事をもっていかれるのか

全ての仕事をロボットにもっていかれるわけではありません。
そこには、必ず人間がなんらかの形で関与し、協業していくことになると思います。
しかし、AIができることは特に私たちがやる必要はなくなっていくのです。
また、日本の労働人口が減っていくことにより、海外からの労働力を活用しようとする動きが既に始まっています。介護の業界などでは、海外の人材に日本の介護サービスを学んでもらい自国にもって帰ってもらう、もしくは日本で働いてもらうなど、これも既に見かける状況です。海外からの優秀な人材が、日本の大学であれば入りやすいといって、どんどん留学してきます。

そんななかで私たち日本人も「働くこと」を、「仕事」をしていきます。
いままで通り就職して働いていけば、幸せに平和に生きていけるさ、会社が自分たちを守ってくれるさ、という考えは、通用しない世界がもう目の前に広がっています。そんな世界で私たちは、何をしていけばいいのでしょうか?

3つの考えること

挙げるとすれば、3つあると思っています。
一つは、組織に依存しない、自分だけのプロフェッショナリズムをもつことです。
一つは、自分のキャリアを転職というきっかけだけではなく、常に考え続けることです。
一つは、自分をプレゼンする能力を常に高める努力をすることです。

この3つは全てつながっていると思います。
一つ目は、大学卒業時の就職、最初の選択から、自分がこの会社で、いつまでに、何を得て、どういうことをしていくのか?
組織が勉強の機会を与え、雇用を守ってくれる時代は終わりました。終身雇用であるとは限らない。その会社のプロダクトやサービス、コンテンツが売れなくなったら、どんなに大きな企業でも潰れる可能性を秘めています。

ゆえに、働くとは純粋に「生活のためのお金を稼ぐ手段」というわけではなくて、「自分が社会で生きていくために、スキルを身につけるための手段」と考えることも大切です。つまり、会社組織に属していれば生活をしていけたのではなくて、会社組織に所属していても自分でちゃんと生きる術を身につけなければ、生活のためのお金すら稼ぐことができないという意味です。

組織に依存しない、自分だけのプロフェッショナリズムをもつこと。そのために、就職をして転職をするにしても、それぞれ目的をもってキャリアを重ねていかないと、モノにならないと考えます。

2つ目は、転職というものはきっかけにしかすぎません。通過点にしかすぎません。
そのとき、付け焼刃で考えたものは断続的で、内定を取るという目的にはいいのかもしれませんが、内定をとって働きだすことはスタートです。スタートを切った後、自分をモチベートしていくのは、自分しかないわけです。そういう意味でも、通過点のための何かを考えるのではなくて、自分がどう生きていくのかという中長期的な視点で考える。それは、常に考え続けなければ簡単に答えはでないでしょうし、正解も不正解もありません。故に、転職活動だから、いきなり自分のキャリアやビジョンを考えるのではなくて、日常から自分が何のためにこの仕事をしているのか、を意識してみるといいと思います。

3つ目は、自分をプレゼンする能力を常に高め続けていくことです。これは一例ですが、よく中途採用の面談や面接のなかで外国籍の方とお会いすることもあります。彼らはとても自分を魅せることが上手です。やってもいないけど、やれるといい切れる、あの度胸はすごいと思います。話を盛ることは必要ありませんが、日本人は自分を適切に説明することすら苦手としています。つまり、言葉にしなくても、何となく雰囲気や読み取るというような日本人の独特の感性や文化があります。そして総じて自己主張が苦手です。 自己主張とは自分のわがままを押し通せというのではなくて、自分は何者で、何ができて、何が苦手なのかという、自分の取扱説明書的な話をできるかどうかです。
常に自分は何者なのか、どんなところに行っても、自分が瞬間的に自分を売り込めるだけの準備はしておくといいと思います。

3つ列挙しましたが、人工知能は嫌でもどんどん私たちの生活に入ってきます。そして海外の方も。
それを止める手立てはないのであれば、私たち日本人は自ら変わる努力をしなければ、指をくわえてみているしかない、それ相応の仕事が残るだけでしょう。
他人や環境をうらやむ、ねたむ、それに対して不満をいうくらいなら、自分の価値を上げていく努力をしたほうが人生を豊かにしてくれるように思います。

キャリアとは、積み重ねです。
といっても無理です。だから積み重ねながらその方向にいくように、選択をし続けること。
中長期的なゴールを自分の中で設定し続けるから、その方向に最後は向かうと思います。

だから常に自分のキャリアを考え続けて、長い目で、積み重ねながら、最後のなりたい自分に向かってやり続けること、限界を設けないことではないでしょうか。

AIがそこまできていると思ったら、もう追い越しているかもしれません。

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