世界経済フォーラム(WEF)が11月に発表した男女格差の度合いを表す「2017年版ジェンダー・ギャップ指数」によると、世界144か国中日本は114位で、2015年101位・2016年111位より下がり過去最低順位になりました。ジェンダー後進国が続く日本ですが、抜け出すために私たちが取り組むべきことはどのようなことなのでしょうか。
ジェンダー・ギャップ指数ランキングの紹介
2017年版同ランキングにて、1位に選ばれたのはアイスランド。実に9年連続首位となっています。続く2位ノルウェー(2016年3位)、3位フィンランド(2016年2位)と、トップ3は2016年から引き続き北欧3国となりました。この指数は男女平等であれば「1」になり、女性のほうが高ければ1を超え、男性のほうが高ければ1を下回ります。アイスランドの指数は「0.878」。一方日本は0.657と、主要国では100位中国(0.674)より低く、118位韓国(0.650)とほぼ並ぶ形となっています。もちろん、G8(先進8か国)の中で最下位です。
本指数は経済参画、政治参画、教育、健康の4分野(14項目)をそれぞれ指数化し、順位が決まります。日本は教育および健康分野の格差はほぼありません。世界平均を超える項目もあり、1位のアイスランドとの差もほとんどありません。
日本が順位を落とす要因となっているのは、経済参画および政治参画です。各項目別に指数を詳しく見ていきます。比較のため、世界平均と1位のアイスランドの指数も併記します。
経済参画分野
労働力率の男女比 アイスランド0.950 日本0.781 世界平均0.667
同種業務給与格差 アイスランド0.807 日本0.672 世界平均0.634
勤労所得の男女比 アイスランド0.727 日本0.524 世界平均0.509
幹部管理職男女比 アイスランド0.519 日本0.142 世界平均0.320
専門技術職男女比 アイスランド1.000 日本0.654 世界平均0.758
幹部管理職男女比、専門技術職男女比が世界平均を下回っています。特に幹部管理職の男女比はわずか0.142で、10人の幹部管理職中女性は1人ちょっとという計算になります。また、女性の労働力率はあがってきているものの、給与格差は未だに存在している現状です。
政治参画分野
国会議員の男女比 アイスランド0.909 日本0.102 世界平均0.279
閣僚の男女比 アイスランド0.667 日本0.188 世界平均0.209
国家代表男女比※ アイスランド0.685 日本0.000 世界平均0.200
(※過去50年間)
経済参画分野よりもさらに深刻なのが、政治参画分野といえるでしょう。項目別の順位でみると、国会議員の男女比は129位と、2016年の122位より悪化しています。
日本における女性活躍推進の現状
日本は厚生労働省が中心に女性活躍推進を推し進めています。2016年4月から、企業に女性の登用を促す通称「女性活躍推進法」が施行されました。その結果もあってか、女性の労働力比率の指数自体はやや改善されていますが、諸外国の指数改善も同様に進んだことから順位は改善されなかった形です。女性管理職比率に関しては政府が掲げる「2020年までに30%にアップさせる」という目標には未だ遠いのが現状です(2016年度の女性管理職比率は12.1%)。
国会議員に関してはさらに女性の進出が進んでおらず、日本の国会議員に占める女性の割合は10%に満ちません。女性候補者数を増やすため、選挙立候補者の一定割合を女性にすることを義務付ける「クオータ制」導入法案が検討されるも、十分な資格をもたない女性が議員になりやすくなるのでは、逆に女性有利になるのでは、といった反対派に押される形で国会を通過できていないのが現状です。
ジェンダー後進国から抜け出すためには
いまでこそランキング上位の常連である北欧諸国も、はじめから男女格差がなかったわけではありません。女性閣僚の数が世界有数で、国会議員の女性割合も約半数のスウェーデンを例にとると、1990年代半ばから男女平等政策取り組みが本格的に始まり、2001年施行の改正男女平等法によって男女賃金格差に関する規定が強化されました。オンブズマンによりスウェーデン被用者全体の25%を超える審査対象賃金調査が実施されるなど、相当の時間をかけながら是正が進んでいったとされています。1位のアイスランドでも、1975年に起こった女性側のストライキ(仕事と家事の放棄)を機に男女平等委員会が設置されるなど、男性も男女平等問題を自分事として取り組むようになり、いまに至っています。その意味では日本は北欧諸国と比べると、法整備は約15年ほど遅れている計算になります。
先述のクオータ制導入も然りですが、男女の賃金格差を引き起こしている要因(企業の制度のみならず、男性側・女性側の考え方の問題が影響していることもあります)を第三者を入れるなどして客観的に分析する必要があるように思います。