島根県松江市はスマートフォンアプリ「ぎゅっと松江」を用いたプロモーション施策の推進や課題解決にあたり副業兼業プロ人材を活用しています。活用に至った経緯や活用によって得られた効果などについて、松江市役所 定住企業立地推進課 松本さんにお話しを伺いました。
定住企業立地推進課についてお聞かせください。
移住定住と企業立地の部門にわかれていて、私は前者におります。移住定住の促進には雇用の場の確保が重要なので、移住定住と企業誘致を一つの課が担当しています。
アプリ「ぎゅっと松江」は、どのような目的で作られたのでしょうか。
移住を検討している方に、約1700もある市町村のなかから松江市を想起していただくためには、まず松江市のことを皆さんに知ってもらう必要があります。
どうしたら松江市をPRできるかを考えていたところ、自治体でアプリを導入する事例が増えていたこともあり、松江市でも作ることになりました。アプリをダウンロードしてくれた方が、「セールスパーソン」として、松江市外の方に向けて「松江市ってこんなところだよ」と自主的にPRしてくれたらいいなと思ったのがきっかけです。
副業人材の活用を検討されるにあたり、どのような課題があったのでしょうか。
アプリを作って1年経った頃から、登録者数が頭打ちになり、なかなか増えなくなりました。
私も含めて行政の職員は、アプリやSNSについて知識がないので、会員数を増やすための施策について業者さんとやり取りをしても、提案された対策が本当に有効なものか、費用は妥当なのかが判断できない状況でした。そこで、知識のある方に協力してもらった方がよいのではないかという話になったのです。
副業人材の活用にあたっては、島根県プロフェッショナル人材戦略拠点から提案があったのでしょうか?
当時、島根県プロフェッショナル人材戦略拠点主催のセミナーを受講し、そこで是非試してみようという流れになりました。
紹介会社からは人材の募集や推薦をさせていただいたわけですが、手続きはいかがでしたか?
副業人材を使うのは初めてでしたし、紹介会社がどのように人を集めるのかわからなかったのですが、求人作成から募集までスムーズに進めてくださり、わずか1週間で60人もの応募があったことに驚きました。最初の段階で、紹介会社が10人程度に絞ってくださったので、大変助かりました。
面接の際も、紹介会社に入ってもらい、事前に質問のポイントなどについて助言をいただきましたし、本番でも私達が足りないところをさりげなくフォローしてもらえて本当助かりました。
紹介された副業人材について感じられたことや、採用の決め手となったことはありますか?
皆さん、アプリの知識が豊富で、面接の段階でもいろいろとアドバイスしてくださり、技術や知識の部分では甲乙つけがたかったのですが、内部で話し合いながら1人を選ばせていただきました。若い方で、キャリアとしてはおそらく他の皆さんよりも短かったのですが、初心者にもわかりやすく教えてくれそうだと思ったのが理由です。何分、私達に知識がなかったので。
副業人材にはどのような形で役割や業務内容を決めて進められましたか?
基本的に週に1回、松江市と副業人材の方でオンラインミーティングをし、必要に応じてアプリを作った業者も交えながらミーティングをさせていただきました。ミーティング前の打ち合わせや日程調整は、メールでのやり取りでしたね。
副業人材の方へは、ベンダーからのご提案内容や取り組み、費用感の妥当性など、業者にダイレクトに質問しにくいようなことも、いろいろと相談させていただきました。
プロジェクトは6ヶ月で完了しましたが、今も副業人材の方には近況のご連絡や質問をフランクにさせていただいています。
副業人材とは全てオンラインのコミュニケーションで完結されたとのことでしたが、問題はありませんでしたか?
リアルで会うのと同じような形でお話しをさせていただいたとは思いますが、やはり画面の向こうの方という印象は最後まで残ったかもしれません。リアルでお会いしたら、雑談などを通して、別のお話しができたとは思います。それが良いか悪いかは意見がわかれるところですね。
副業人材によって解決、改善されたことがあれば、教えてください。
オンラインミーティングではいつも資料を使って説明をしてくださり、その後、その資料をいただきました。「今後このようにしたらいいですよ」というような報告書を成果物としていただけて助かりました。
アプリ会員数の伸び悩みについては劇的に改善されたわけではありませんが、データを分析して基礎的なところをしっかり検討できたのは副業人材の方のおかげですし、最も大きな成果だったと思います。
また、定住企業立地推進課として、TikTokやInstagram などのSNSを活用するために、何に注意をしたらいいのかも教えてもらえたことは大きな効果でした。
今後副業人材活用を検討される企業様へ、メッセージをお願いいたします。
自治体においては、自分たちだけでは足りないところを補強する意味で副業人材を活用できると思います。企業はプロフェッショナルな方々の集まりですので、自治体とは違うかもしれませんが、違う視点を持った人を取り入れることで、事業の展開にも役立つのではないでしょうか。積極的に活用されるといいですね。
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