首都圏の幹部人材と地方企業をつなぐ。 前例のないメディアが生み出す、キャリアの新たな選択肢
株式会社日本人材機構 代表取締役社長 小城武彦
GLOCAL MISSION Times 編集部
2018/12/27 (木) - 17:00

当メディアを運営している株式会社日本人材機構は2018年12月3日、新たなメディアを公開した。その名も「GLOCAL MISSION Jobs(グローカルミッションジョブズ)」。経営幹部になりうる人材と地方企業のマッチングに特化した求人メディアである。そこで今回、代表取締役社長 小城武彦に、リリースの背景や想い、求職者と地方企業の双方にもたらすメリットについて聞いた。
来たるべき人生100年時代の中、キャリア形成における「地方」の位置づけとは――。

地方には魅力的な仕事とやりがいが溢れている。それを知らないままでは、もったいない

―まずは「GLOCAL MISSION Jobs」のコンセプトを教えてください

いちばんの目的は、首都圏で働くビジネスパーソンの皆さんに、地方にも魅力的な仕事があるという事実をお伝えすること。企業の情報はもちろん、仕事の内容と活躍できるステージについてわかりやすく伝えることで、「こんなふうに力が発揮できそうだ」と、リアリティを持ってイメージ喚起させられるような、そんな発信をしていきたいと思っています。

―そうしたコンセプトが生まれた背景は?

当社は地方創生を事業の目的として掲げ、地方企業のオーナー様に、その右腕となれる人材をご紹介してきました。私はこの仕事を通じて改めて思ったのですが、地方にはいい会社、魅力的な仕事が山ほどあるんです。でも残念ながら首都圏の人たちはそれを知らない。そこにものすごい情報の偏在があるわけです。それはつまり、首都圏で働く、本当に力のあるビジネスパーソンの皆さんの具体的な転職の選択肢に、地方企業がまだ入りきれていないということ。こんなにもったいないことはないと思っていたんです。

―そもそもなぜ、そのような閉鎖的な状況が生まれてしまったのでしょう

民間の人材紹介会社の皆さんは、当然事業を進める上でなるべく効率的に仕事を紹介したいという思いがあるので、情報が首都圏に偏ってしまう。地方企業にまで足を延ばす機会がそれほど無いわけです。なので魅力的な地方企業の情報がなかなか首都圏に流入してこない。求人メディアの本来の意義は、求職者に向けて一つでも多くの選択肢を与えてあげられることだと思うので、そういった観点からも、この仕組みは本当にもったいないと思っていて。ぜひそこをブレークスルーする突破口を作っていきたい!という想いが根底にありました。

―それはこれまで、オーナー様の課題や悩みを目の当たりにしてきた日本人材機構ならではの着眼点だと感じます

そうですね。地方の企業というのは、とっくに成熟化している市場環境にあったり、少子高齢化も顕在化しているわけなんです。そうなるとやはり変革が求められる。そして変革を叶えるためには、これまでの社内にはない、新たな知識や経験が必要となります。ところが残念ながら彼らはそういう人材を首都圏から採用した経験がないし、周りの地域企業を見渡してもそういう会社はほとんどないので、まさか都会から人が来るなんて1ミリも思っていないんですよ。でも実際に足を運びお話をお聞きすると、本当に面白そうな仕事があって、やりがいに溢れているんです。だったら僕らが感じたわくわく感を、もっと皆さんに知ってもらおう!と。そうすれば地方企業に対するイメージも変わるだろうし、転職先の選択肢に入るのではないかと思っています。

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株式会社日本人材機構 代表取締役社長 小城武彦

2人に1人が、キャリアをやり直したいという事実。くすぶる人材の力を、日本全体で活かせる未来へつなげたい

―日本人材機構は「日本の人材の活性度を上げる社会をつくる」というテーマも掲げておりますが、このメディアもその一環なのでしょうか

そのとおりです。僕らはこの事業を行うにあたり、首都圏のビジネスパーソンがどのくらいやりがいを持って仕事をしているか、ということを調べているんです。すると厳しいデータがあがってくるわけです。たとえば、こんなデータ。1億総活躍社会と言われるけれども、皆さんの周りを見渡してください、と。ご自身の同年代の中で、本当に力を発揮して活躍している人は何割くらいいらっしゃいますか?と質問すると、だいたい3割以下という答えがあがってくる。さらに、管理職以上の方々を対象に、もしキャリアをやり直せるとしたら、転職を選ぶか?と聞くと、56%がイエスと答えるんです。つまり、2人に1人以上が、「転職しとけばよかった」と思いながら今の仕事をしているわけです。そういった皆さんがもっと早く、地方にもこんなに魅力的な仕事や活躍の場があるということを知っていたら、もっと早い段階で「地方へ行く」という選択ができたかもしれない。その選択肢がありながら、なぜこれまで誰も提供していなかったのか。私はこの誇るべき人材の力を、もっと日本全体で活かせたらいいなと思っていて。当メディアを、そのきっかけにしたい!という想いがさらに深い背景にあります。

―活躍できる場所は、首都圏だけに限られていない、ということですね

そうです。あまり知られていませんが、日本のGDPの6割強は、3大都市圏以外で作られているんですよ。日本のGDPから、1都3県と大阪市、名古屋市がつくっている総生産を引くと、317兆円もの額が残るんです。日本の富の6割は地方がつくっていて、そこにはそれを支えるいい会社が山ほどあり、まだまだ成長の余地がある。でもオーナーは人手不足に悩まされていて、一方でこんなに面白い仕事があって、それをほとんどの人が知らない。この情報化社会で、未だ生じているこんな事態を、なんとか直したいと強く思いますね。

仕事と暮らし。双方のイメージをリアルに伝えることで、「地方企業×幹部人材」という業界初の試みを形に

―数多ある中途採用メディアに対し、どういった形で差別化を図っていこうとお考えですか?

地方企業の魅力、あるいは仕事の魅力をいかにお伝えするか、というところを常に念頭に置いています。なので、いわゆる求人票的なフォーマットというスタイルをとっていません。まずは、どんな人が経営しているのか、そしてどんなビジョンを掲げているのか。その会社は地域にとってどんな役割を果たしているのか、というところがベースとしてあった上で、「自分はどんな活躍ができるか」ということが、カスタマーにリアリティをもって伝わるように心がけています。

―地方転職ということは、たいてい移住も伴うわけですよね

そこでもう1つ力を入れているのは、暮らしにまつわる情報提供です。仰るとおり地方への転職は転居を伴う可能性が高いので、その地域に住んだことがない人も多いわけです。当然、いったいどういうところなのか、気になるはずです。なので、そういう仕事面と生活面、両方の内容をしっかりお伝えしていけるよう注力しています。

オーナーに寄り添いながら課題解決へと導いていく“伴走型”の支援

―そうしたリアルな情報を引き出し届けられるのも、日本人材機構がこれまで培ってきたコンサル力が下地としてあるからですよね

地方企業のオーナー様が抱える課題は多岐にわたるので、頭の中が整理されていない方もいらっしゃいます。なので、まずはディスカッションしながら、対面ではなく、横に寄り添うかたちで、一緒に経営課題を整理していく。我々は「伴走型支援サービス」という言葉を使っているのですが、“伴走する”というのが我々の基本的なスタンスです。オーナー様の悩みを一緒に共有し、優先順位をつけて、まずはここから手をつけましょう、そのためにはこんな方が必要ではないですか?という流れで整理していきます。

―日本人材機構がこのメディアを通じて叶えたい「地方創生の形」とは?

地方にある企業というのは、その地域に根差していて、地域のさまざまな経営資源をうまく活かしているんですね。すなわち、歴史が長ければ長いほど、地域の強みがそのまま企業に反映されているんです。だから、東京を目指したり真似る必要はなくて、その地域ならではの力を伸ばし、さらに活かせるようなスタイルになっていくべきだと思っています。そのために最も必要で、且つ、足りていないのが人の力。したがって、全国から適性のある人を集めて、それを実現するような仕組みがこの国に根付くと、おのずと地方は元気になっていくと思います。

―自発的に発信するにしても、自分たちの魅力ってなかなか気づかないものですよね

仰るとおり。だからこそ我々のような外側から見た目に映る、その会社、その仕事の魅力を、しっかりお伝えするコンテンツにしようと思っています。

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地方で活躍できる人材に共通する資質。それは、なんでもやる心構えと異文化対応力

―当メディアが紹介する企業が求める人物像についても、具体的にお聞かせください

大きく2つあると思います。地方の企業は比較的規模の小さい組織が多いので、「自分はこれしかできません」という人は難しいんです。したがって、なんでもやる姿勢と、マルチな対応力が大事。たとえば営業として入っていただいても、いわばオーナーの右腕として入るわけです。営業はあくまでメイン業務で、経営戦略を考えたり、マーケティングを任されたり、もしくは広報の仕事だってあります。ましてや組織が少人数なので、部下もいないかもしれない。なので、その企業のためには自分のすべての力を注いであげられるような、構えの広い人であることがまず第一だと思います。

―なるほど。では、もう一つの資質とは?

東京や大都市から初めて人を採用したとなると、社内のメンバーはまず警戒するわけです。緊張もしますしね。そこはいい意味で裏切って、グーッと輪の中に入っていけるような。異文化対応力といいますか、「俺は東京から来たんだ」ではなく、その会社のいいところを見つけて「すごいですね!」って自分の気持ちをストレートに出しながら、みんなと同じ目線で、同じ想いを持って仕事ができるか。それはすごく大事ですね。能力うんぬんよりも、そういう姿勢の方が大事かもしれない。

―そういった部分に長けている方には、何か共通点などあるのでしょうか

これまでの社会人人生のなかで、境を超えたことがある人だと思います。一度転職をしたとか、社内でも全く違う分野に異動したことがあるとか。そういう異文化体験をしたことがある人は、適性があると思いますね。

メディアを通して得られる、地方企業とカスタマーのメリット。めきめきと音をたてて成長するダイナミズム

―GLOCAL MISSION Jobsを通して得られる、企業側のメリットとは?

企業側にとってはまず、事業モデルやプロセスなど、今しなければならない変革について、本当に頼りになる、かつ即戦力となる人材を採用できるということがいちばん大きいです。
これまでの地方企業における採用スタイルは、たいていの場合、ハローワークか縁故なんです。首都圏から経験豊富な人が来ることなんて、夢にも思っていないんです。でも実際、人が来る。その人が入ってくることで、社内に新しい風が吹き、めきめきと音をたてて会社が変わっていく。それが大きなうねりとなり、地域も活性化される。そんなダイナミズムを実感できると思います。

―転職する側にとっても、すごくやりがいがありそうですね

そうなんです。当メディアを通して得られるカスタマー側のメリットは大きく2つあって、1つは、事業を発展させ、企業を経営するという“リアリティ”を体感できるということ。そういう場に身を置くことで、自分の力もめきめき伸びていくのを実感できると思います。
会社が小さいからこそ、すべてが見える。事業全体が視野に入るわけです。

―一口に中小企業と言っても、首都圏ではなく地方にあることで得られるダイナミズムがあるということですか

地方の企業は、その地域と直結しているんです。地域経済におけるウェートが高い。だからこそ事業が発展し、利益が上がれば、地域経済もよくなる、ということを自分の努力で実現できるんです。大企業だと、いくら自分が努力しても、会社を変えるところまでは行き着かない。だから、どこかで自制してしまっている人が多い。それとは全く逆の環境があるわけですよ。このリアリティってすごいと思います。それともう一つはやはり、オーナーという存在の魅力ですね。

―小城さんが感じる地方企業のオーナーの魅力とは?

地方企業のオーナーはサラリーマン経営者ではないので、個人としてもリスクを抱えながら、事業を背負い、従業員を背負い、地域経済まで背負っていらっしゃいます。また地方の場合は長い歴史をもつ企業が比較的多いです。中には十何代目という方もいる。そこまでいくと、もはや企業だけでなく、その地域の歴史すら背負っているわけです。計り知れないプレッシャーの中で闘いながら、サラリーマン経営者にはない魅力にあふれている。その横で働くことで、企業家のリアルな姿が見えると思うし、どんな覚悟をもっているかがわかるはず。ですから、一度はそういう経験をされることをおすすめしたいんです。非連続的に能力がアップしていく実感が得られると思います。

地方の企業ってたいてい、オーナーがいちばん早く会社に出社されるんです。それで、1人で工場や店舗を掃除しているわけです。その意図が何なのか、私も昔はわからなかった。でも自身もベンチャー企業のオーナーのもとで働いてみたことで、わかったんです。オーナーにとっては、店舗や工場は自宅なんです。自宅の居間のようなものなんです。だから当たり前のように掃除をする。それが彼らのリアリティなんです。そんな背中を見るだけでも全然違いますし、働くということの本質を学べると思います。

一定の場所にとらわれず、自己実現を叶える。ダイナミックなキャリア設計ができる時代へ

―人生100年時代がやってくると言われていますが、キャリア形成における地方の位置づけについてはどのようにお考えですか?

私は、日本は狭いと思うんですよ。どこへも日帰りで行けるじゃないですか。だから、東京とか地方とかいわずに、仕事を求めてみんながぐるぐる回遊する社会になったらいいと思っています。人生が100年もあるならなおさら、自分がなりたい姿に向かって、積極的にその場所を選んでいく時代になるはずなんです。たとえば、東京で10年仕事をして、次は山形に行って、またその次は沖縄で働いて、故郷の大阪に帰ってくるとか。自分のキャリア設計の中で「こんな仕事がしたい」というのがあって、それを一定の場所に縛られることなく選んでいける。その選択肢を提供するのが、我々の役割だと思っています。

―日本のビジネスパーソンが1人でも多く自己実現するためには、選択肢を広げる必要があるということなんですね

そのとおりです。地方に行ったっきりじゃなくてもいいと思うんですよ。また東京に戻ってきてもいい。例えば地方に行って、7年くらいオーナーの右腕をやって、売上をガーッと伸ばした後に東京に戻って起業をしたっていいし、地方で得た経験を活かして大企業の社長になったっていいじゃないですか。1人でも多くのビジネスパーソンが、そのようなダイナミックなキャリア設計ができるような、そんな未来を実現できたらいいなと思っています。

―地方だからこそ学べるノウハウや、積めるキャリアもあるということですね

地方のオーナー様は、意外と東京のことは見ていなくて、もっと先の世界に視野を広げている方が多い。今の時代、地方にいても東京のことはほとんどわかります。でも逆はそうじゃない。東京にいても、地方のことはわからない。情報化社会の恩恵は、圧倒的に地方の方が受けていると思っています。その情報を活かし、尚かつグローバルに対峙し、「自分に何ができるのか」と挑戦する舞台としては、“東京より地方”だと、個人的にも思います。

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キャリア形成におけるパラダイムを転換。地方への転職を、この国の新しい常識にしたい

―最後に今後の展望についてもお聞かせください。この国の未来に果たしたい役割とは?

当社(株式会社日本人材機構)の経営理念は、「新しい人、新しい地方へ」なんです。東京との比較において遅れているという意味での地方ではなく、社会的な課題としては東京よりもはるかに先に行っていて、その課題を乗り越えながらも、東京の真似をせずに発展しようとしている地方に、それまでいなかったような人が入っていく。そんな未来が広がっていけばいいと思っています。そして、地方への転職を新しい常識にしたい。これまではどちらかというと非常識に近かったわけですが、これからは当たり前の選択肢に入るようにしたい。これはなんとしてでもやりたい。そう思っています。

―ヨーロッパやアメリカでは、職を求めて地方へ行くということが比較的当たり前に行われているようですが、日本はそうではありません。なぜそうなったのでしょう?

おそらく日本の「追いつけ追い越せ」的な流れのなかで、単一のモデルを追いかける、みんな同じ路線を走る、というような価値観が強かったからだと思います。ところがこれが今、オープンになってきている。自分が信じる道を行こうぜとなってくると、東京も単なる1つのパターンにすぎない。そんな風に価値観も今、変わりつつあるのかなと思っています。それに、地方だったら、ワークライフバランスなんて敢えて謳う必要もありません。既にワークとライフが融合しているから。住居と職場が近接していて、通勤地獄もありません。都心とは全く違う世界が待っているのに、それを知らずに人生を終えるのは、やっぱりもったいない。

私たちの想いは、転職した人が自己実現できて、採用した企業も課題を解決できて、双方が幸せになってもらいたいということ。そのために責任と志をもって、我々ならではの視点で情報を提供できるよう努めていきたいと思っています。

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