春といえば、気になる方が増えている「花粉症」。特にスギ花粉症の有病率は2割を超え、今や国民病ともいわれる花粉症。仕事に支障をきたす、効率が下がるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。できるだけ仕事に影響を与えない花粉症対処法を考えます。
花粉症の仕組み
花粉症の対処法を知るためには、花粉症に対する基礎知識をつけることが先決です。
まず、2018年シーズンの花粉飛散傾向をみていきましょう。東北・四国地方で前シーズン比210%、関東甲信地方で150%、北陸・東海・近畿地方で110~130%などとなっています。例年と比べると極端に多い予想ではないものの、3月上旬から4月上旬にかけスギ花粉のピークが予測されています。
そもそも花粉症はなぜ起こるのでしょうか。
花粉が体内に入ったとき、「アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)」として判断されると、体はこのアレルゲンを排除すべく「IgE抗体」と呼ばれる物質をつくります。この物質ができた後に体内に入った花粉に対し、くしゃみや鼻水、涙などで外に出そうとしたり、鼻づまりによって鼻からの花粉侵入を食い止めたりといった防御作用が働きます。これがいわゆる花粉症の症状です。このIgE抗体の量によって花粉症症状の度合いが変わるといわれています。今まで花粉症の症状がなかった方でも突然発症する可能性があるのは、この抗体量がある一定量を超えたからと考えられます。
花粉症がもたらすさまざまな影響
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種(季節性)であり、生活への影響も少なくありません。少し前の調査になりますが、花粉症を含むアレルギー性鼻炎患者約1700名を対象に、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)への影響がどのようなところにでているかについてアンケートをとったところ、「支障あり」と回答した割合が多い上位5項目は以下の通りです。
・精神集中不良 75.3%
・勉強・仕事・家事の支障 73.2%
・気分が晴れない 72.8%
・思考力の低下 68.2%
・いらいら感 66.8%
物事に集中できなかったり、頭が働かず仕事に支障が出ていたりする方がかなりの割合にのぼることがわかります。
海外の調査になりますが、労働者ひとりあたりの年間平均生産損失額は片頭痛やうつ病(約200ドル)に対し、花粉症を含むアレルギー性鼻炎は約3倍(600ドル)にのぼっていることからも、花粉症がいかに仕事のパフォーマンスに影響を与えるかが明らかです。
できるだけ効率を下げずに仕事をし続けるために
仕事の生産性をできるだけ下げずに、これからの花粉症シーズンを乗り切りたいところですよね。ここでは、日常でできる花粉症対処法をいくつかご紹介します。
・洋服選び
花粉症対策として「花粉を極力とりこまない」ことがあげられます。そのために、花粉症の方は特に洋服選びにも気を配りましょう。洋服の素材によって、花粉の付着量が変わってきます。たとえば、ウールやフリースのカーディガンやファーは花粉を引き寄せやすい素材です。できるだけ綿素材や、レザーやポリエステルなどつるつるとした素材のものを選びましょう。また、静電気による影響も見逃せません。静電気が起こりやすい方は特に、静電気防止スプレーもあわせて活用するとよいでしょう。
・加湿器や空気清浄機の活用
勤務場所に設置されていればよいですが、もし設置されていない場合はモバイル型の小さなものを自分の机におくだけでも効果が変わります。
また、社内の湿度を高めることも必要ですので、加湿器もあわせて活用しましょう。空気中の花粉を湿らせ、飛散を防ぐ効果が期待できます。花粉の多い日(前日が雨で、その後天気が急に回復して晴れた日や、湿度が高い日などは要注意)は窓を開けないようにすることも大切です。
・睡眠をしっかりとる
睡眠不足は体内の免疫力を落とし、ホルモンバランスを崩す大敵です。特に花粉の時期の入浴は朝よりは夜に。しっかり花粉を洗い流してから寝ることで、花粉症の症状緩和につながります。
・飲酒や喫煙を控える
飲酒は血管拡張の作用があり、鼻づまり、充血などの症状が悪化する可能性があります。喫煙も、煙に含まれる化学物質によって鼻の粘膜が刺激されることから控えたほうがよいです。自分では吸わないという方も、受動喫煙によって花粉症の症状が悪化することもありますので要注意です。
なかなか病院で専門的に見てもらう時間が取れないという方も、これら日常生活のなかでできる対処法から実践していただき、効率をできるだけ下げずに業務を行える一助になればと思います。