「これから仕事をしていく上で、好きなことに関わっていけないだろうか」と今までの自分のキャリアを振り返り、考えている人も多くいると思います。今回は、そんな人にとってのひとつの形である「パラレルキャリア」という生き方を紹介しましょう。
1.本業とは違う好きなことに関わる
まず、「パラレルキャリア」とは何なのか、お伝えしていきましょう。「パラレルキャリア」とはピーター・ドラッカーが著書の中で提唱したもので「本業を持ちながら、人生において第2のキャリアを築くこと」を言い、最近特に注目されてきています。
では、副業、いわゆるWワークとどう違うのでしょうか?一番違う点は、報酬を得ることを必ずしも目的にしていないことです。Wワークの大きな目的は「今までの仕事の他に収入を得る道を作ること」ですが、パラレルキャリアは、ボランティアや趣味、NPO活動など、自分の生きがいではあっても、必ずしも収入が入らない活動をすることも含まれます。
例えば、大手の会社で管理職としてバリバリと働いているAさんは、ボランティアで「悩んでいる人たちの電話相談」を定期的に続けています。また、エンジニアとしてキャリアを積んできたBさんは、自分の経験を活かして本の執筆を行っています。Bさんには著作を書いて欲しい、と依頼がきたわけではなく、好きなことにまず趣味の延長として取りかかってみました。収入を得なくてもよいので、自分のやりたいこと、好きなことに関わっていく、このような形がパラレルキャリアと言われるものです。
2.ボランティアやNPO活動の見つけ方
では、どのようにして始めればよいでしょうか。前述のAさんは、まず自分の趣味と自己啓発を兼ねて、心理カウンセラーの勉強を始めました。最初は好きで勉強してみよう、本業の仕事に役立てられれば、という気持ちで講習を受けましたが、次第にこの活動をやってみたい、できれば第2の人生として、定年後には主な活動にしたい、という気持ちが高まってきました。そこで、学んだスクールで募集していたボランティアの電話相談に応募しました。
このようなボランティアの活動は、好きなことを学んだり習ったりする中でネットワークが広まり、応募することができたり、声がかかったりすることも多いものです。まず自分が好きで習得したいことや、運動のように得意で、サークル活動などに関わりたいものを始めてみるとよいでしょう。知り合いなど直接の場所がわからない人は、インターネットで検索し、学んだり活動したりする場所を探してみましょう。
また「人の役に立ちたい」という気持ちからボランティア活動やNPOの活動に関わる人も多くいます。Cさんは、東日本大震災を機に、災害のボランティアに関心を持ちました。ネットで検索し、募金をまず行いましたが、その団体が現地でのボランティアも募集していることを知り、応募しました。その後も継続的に行いたいと、NPOで月2回救援物資を整理したり、イベントの運営を手伝ったりする活動に参加しています。今ではネットワークもでき、今後災害があったときには、もう少し支援できる経験が積み重ねられたと感じています。
今はインターネットで多くの活動を調べることができますし、自分の住んでいる地域での活動に参加したい場合は、市や都道府県など自治体から出される公報をよく読んで探すこともできます。まずはそこから応募してみてはいかがでしょうか。
3.「自分の好き」を探す
このように、パラレルキャリアのよい点は、自分の本来の仕事以外に打ち込めるものを、まずは小さなことからでも始められる点ですが、「何か始めたいのだけど、何を始めたらよいかわからない」という声も多く聞きます。
そんな人は、まず「自分が好きなこと、やりたいことは何か」を探してみることから始めてみてください。ノートに思いつくままに自分の興味があることややってみたいと思っていたことを書いてみるとよいでしょう。その際「これはできそうにないから」とか「時間がかかるから無理そうかな」などの思いはひとまず脇に置いて、ただ出してみましょう。全部出せたかな、と思ったらその中からやってみようと思えるものを探してみるとよいでしょう。
パラレルキャリアは、Wワークと違って趣味を学んだりボランティア活動を行ったりと、自分のお金の持ち出しとなることも多いものです。また、週末など自分の休みの時間を割くことにもなるので、家族の同意やサポートも必要でしょう。支出や自分の時間を割くことがあってもよいと思えるやりたいことに一歩踏み出すか、持ち出しになるので、まずは軽い気持ちでちょっとした地域の活動に参加することから始めるか、自分の軸を考えてみてください。あなたも、小さなことから新しい自分の第2のキャリアを見つめてみてはいかがでしょうか。