地方で仕事をする選択肢のひとつに「農業」があります。地方に転職したい、と思ったときに、農業ができるかどうか、検討する人もいるでしょう。ただ、やったことがない人が農業で転職できるのでしょうか?今回は、そんな場合に知っておくと役立つ情報を紹介しましょう。
素人がすぐに収入を得ることは難しい
まず、理解しておいたほうがよいことは、全く経験がない素人が、すぐに農業で充分な収入を得られるぐらい作物を収穫することは難しい、という点です。農業は技術が必要な仕事です。一度も習ったことがない人が、独りで行うのは上手くいかないと思った方がよいでしょう。どこかで技術を習得する必要がありますので、現場で実際に実習ができるような機会を作るようにしましょう。農業のための学校や講習もありますが、中には実習の機会が非常に少ないものもありますので、実際に農家で作業をやらせてもらいながら教わる時間を作ることをおすすめします。週末だけ農業を体験するなども可能な場合もありますので、検討してみましょう。
行う場所によって作物が違う
次に、あなたがどこの地方で農業を行おうと考えているのかによって、向いている作物が違うこと、それによって作り方などの方法が違うことも理解しておく必要があります。つまり、どこの場所で行うか考え、その場所での体験ができるような実習をするか、その土地で農業をしている人に教えてもらうのが一番なのです。
また、何を作るかによって必要な農機具などの道具も違ってきます。もし、あなたがUターンで自分の地元で農業をやろうと考えているのなら、実家で農業を行っている家族がいれば相談する、知り合いから教えてもらうのが最も取り組みやすい方法です。もし、土地を借りようと思っているなら、どこで借りるのか、道具も貸してもらうことを検討するなど、その地域の人に相談できる部分は大いに頼りましょう。Iターンで知らない土地に引っ越し、農業をしたいと考えている場合は、どこの土地ならどんな作物がよいのか、どこでやりたいと考えているのか、まずはネットなどで調べてみることから始めましょう。
農業で就職することもできる
実は意外に、農業を行っている法人で社員を募集していることは多いのです。最初は安定した収入を得るためにも、経験を積むためにも、そうした現場に就職することもひとつの方法です。「農家のおしごとナビ」というサイトがありますが、2017年9月現在、全国の約250件の農業の求人案件が掲載されています。人手不足の農家が多いので、未経験者歓迎の仕事も多くあります。ハローワークの求人にも農業はありますので、そちらも探してみるとよいでしょう。まずはこういった所に雇用されて収入を得ながら技術を習得することも検討してみてはどうでしょうか。
ただし、求人にはやや偏りがあり、全体的に牧場の仕事が多い傾向があります。あなたが希望しているのがどの地方で、何の農業がしたいのかによって、求人を選ぶほうがよいでしょう。自分が行きたい地域の仕事や、その地域で向いている農業に携われる仕事に就かないと必要な技術が学べないおそれがありますので注意してください。
新規農業の支援も多くある
また、45歳未満の人であれば、その地方に新しく移って農業を始める人のための支援も多くの自治体で行われています。新しく農業を始める際に、いきなり農機具を揃えるのは大変ですし、リスクも高いので、レンタルするほうが得策です。家をどうするか、土地をどうするか、融資を受けられるかなどをその地域の自治体やJA(農協)にまず相談するとよいでしょう。全国で、下記のような就農フェアも多く開催されています。まったく知識がない人が、農業について知るよい機会ですし、先輩の声を聞くことや、農家の人とのネットワークも作ることができるでしょう。足を運んでみてはいかがでしょうか。
新・農業人フェア
そもそも向いているのかまず体験してみよう
中には「そもそも、自分は農業に向いているのだろうか」と思っている人もいるかもしれませんね。特に全く体験したことがない場合は、一旦農業の仕事に就いてみてから「やっぱり向いてない」ということにならないように、農作業を体験するお試しから始めてみることが必要です。頭ではわかっていても、温度差が激しい屋外で地道に身体を使う肉体労働の作業を続けることができるかどうか、最初は収入が少なくてもモチベーションを持ち続けてできるかどうか、ある程度の期間体験してみるほうがよいでしょう。今の仕事を続けながら、趣味で農地を借りるなどして行ってみてはいかがでしょうか。そこで「やっぱり興味がある、やりたい」と思えたら農業の求人を探してみるとよいでしょう。