みなさんは、「マインドフルネス」をご存知ですか? 言葉を聞いたことがある人も多くなってきたのではないでしょうか。マインドフルネスとは瞑想とも訳されますが、一言で表すと「脳の休め方」。今回は、仕事の効率を高めるといわれるその手法について紹介しましょう。
マインドフルネスとは
マインドフルネスは、アップルの創始者であるスティーブ・ジョブズやマイクロソフト社の創設者のビル・ゲイツが日々行っていたことでも有名な方法で、現在では、Googleやゴールドマンサックス、インテルなどの世界的企業が社内に取り入れています。日本でも日経新聞が特集を組んで紹介するなど、ここ2、3年で急速に注目されるようになってきました。
これは、脳で思考することを1日数分休め、頭で何も考えない時間を取る手法で、それによってリラクゼーション効果のある副交感神経が優位に働くようになり、自律神経の働きが整う効果があります。また、1日1回継続的に行うことで仕事の効率も高まり、モチベーションもアップできることが分かっています。
難しそうに思われるかもしれませんが、すぐにできる方法もありますので、具体的に紹介していきましょう。
マインドフルネスの呼吸法
まず、マインドフルネスでの呼吸法です。夜寝る前など、リラックスできる時間に行うとよいでしょう。
1.両足をしっかり床につけてリラックスできる姿勢で座ります。足は肩幅くらいに開き、背もたれは使わずゆったりと座りましょう。両手は力を入れず、軽く両太ももの上に置きます。
2.目はつぶってもつぶらなくてもどちらでもかまいませんが、自分の呼吸に意識を集中します。
3.鼻からゆっくり「1、2、3、4」と心の中で数えながら息を吸います。
4.1回息を止めて、ゆっくり鼻から「1、2、3、4、5、6、7、8」と息を吐きます。
このとき、鼻の中、肺、お腹を空気が通っていくことに意識を向け、集中します。他のことは考えないようにし、何かが頭の中に浮かんで来たら、イメージでその考えを川にサラサラと流すようなつもりで頭の中から放すようにします。
5.吸って吐く呼吸を10回繰り返します。
食べ方のマインドフルネス
次に、食べることでマインドフルネスを行う方法です。
1.みかん1個、りんご1切れ、チョコレート1個、クッキー小1袋、など1つの種類ものを少量用意します。
2.たとえばみかんの場合、手に持つ、皮をむく、白い筋を取る、1房を手に取る、口に入れる、舌でまず味をみる、上の歯と下の歯でかむ、甘酸っぱい味を感じる、唾液を出す、10回かむ、喉で飲み込む、などのように、みかんを食べることに集中し、食べているときに行っている動作や、感じている感覚、味、身体のどこで感じているか、などに意識を集中するようにします。その行為だけを意識し、他のことを考えないようにゆっくり味わいながら食べるようにしましょう。
3.用意したものを全部食べ終わるまで続け、食べ終わったら、やってみて感じたことや気づいたことを書き留めます。
書くマインドフルネス
次に、文字や絵を書くマインドフルネスです。有名なのが、写経です。大きな書店に行くと、写経や塗り絵のワークシートを売っていると思いますので、自分の好きなものを購入しましょう。写経の場合、薄く文字が書いてあるところを、その通りに筆ペンで文字をなぞっていきます。やはり頭で何も考えず、ひたすらその通りに書くことに集中します。
写経でなくても、自分の好きなエッセイや詩の本を、一字一句その通りにノートに丸写しするのもよいですね。
塗り絵の場合は、1ページに白黒で絵が描いてあるので、その部分に自分の好きな色を塗って仕上げていきます。見本の色がついている本もありますので、最初はその見本通りに集中して塗るようにすると何も考えずに行えるでしょう。
まとめ
マインドフルネスは、自分自身の今をあるがままに受け入れ、呼吸など、今この場で行っていることに意識を向け、集中する方法で、そのなかには瞑想やヨガも含まれます。トレーナーからそういったやり方を教えてもらい、一緒に講座のなかで行うものも開催されていますので、いきなり自分では難しいと思う人は、一度講座に出かけて行ってみる方法を試してみてはいかがでしょうか。
ただ、重要なことは、1日1回5分位でよいので、毎日2、3週間は続けてみることです。マインドフルネスを行うと、ストレスを解消してメンタルを安定させるセロトニンが分泌され、リラックスして熟睡できるようになる効果が出ていますが、1日ではなく、毎日、数週間続けてみることで、効果が表れてきます。
忙しい現代の私たちの脳の中は、常にいろんな思考が浮かんでは消えるような状態にあり、何かを考えて交感神経が優位になっていることが多いのです。1日に1度、頭の中を空っぽにして、脳に休息を取らせることも次に進むためには必要なのです。