このサイトを見ている人の中には「自分らしく働く」ために「こんな仕事ができたらいいな」「こんな働き方ができたら」とやりたいことを思い描く人も多いでしょう。そんなとき、まず〇〇の資格を取らないと、とか、私に専門的なスキルや経験が足りない、とか、能力をプラスすることを考える人が非常に多いのではないでしょうか。今回は、その前に大切なことがある、という点について解説をしていきたいと思います。
ニューロロジカルレベルとは
「能力をつけるためには、まずは行動が大事」と思った人もいるかもしれません。確かに考えているだけでは何も実現しませんので「行動」は大切です。しかし、行動したいと思っても、すぐにつまずいてしまう、なかなか続かない、へこんでしまう、など、人は「やろう」と思うだけでは上手く行かない場合が多くあります。これは、なぜなのでしょうか。実践心理学のＮＬＰ（神経言語プログラミング）の理論であるニューロロジカルレベルを使って説明していきましょう。
ニューロロジカルレベルとは、アメリカのロバート・ディルツ博士が、人類学者グレゴリー・ペイトソンの考え方を体系化したもので、人間の意識を「環境」「行動」「能力」「信念・価値観」「アイデンティティー」の段階に分類したものです。
たとえば、あなたが今の会社勤めの仕事から、未経験の不動産の仕事で独立したい、とします。・どこで開業するのか ・周りにどんな人が必要か ・その場所に必要な設備や道具は？というようなことは一番下のレベル、「環境」の内容です。
開業するために、あなたは・いつ何を実行するのか ・どんな行動をすることが必要か どんどん出していくことが必須ですが、それは「行動」の段階になります。
さらに、その行動をするために、あなたは・どんな能力やリソース（経験、知識、情報、資金、特性、ネットワークなど）を持っているか、・どんな能力をプラスする必要があるのか 「能力」について考えていくことも重要です。ここまでが下からの3段階です。
上の段階を明確にしないと進まない
では、未経験の不動産の仕事で開業するために、開業場所や設備、一緒にやってくれる人を用意して、計画を立てて行動し、必要な資格取得や、経験のための短期的な仕事について努力すれば上手く行くでしょうか？
残念ながら、なかなかこれだけで上手く行く人は少ないでしょう。「自分だったらそもそもいきなり開業しようと思わない」という人も多いのではないでしょうか。客観的に考えたら、宅地建物取引士（宅建）の資格がないと、最終的には不動産業で独り立ちすることは難しいですし、取得の難易度も高い資格です。資金も貯めないといけない、不動産取引の経験もないのに、開業なんか無理！ と思いますよね。
そこで、重要なのが上位のレベルの「信念・価値観」と「アイデンティティー」です。あなたが「開業なんか無理！」と思ったのは、「私にはできない」「私にはその自信がない」と考えたからではないでしょうか。この「〇〇できる・できない」「私はこういう人だ」というような考え方を「信念」と言います。客観的な事実ではないのに、自分が信じている判断基準のものさしのことです。いくら能力をつけて実行しようと思っても、あなたが「きっとできないに違いない」「実は自信がない」と思っていたら脳の思考は、その考えに意識を向けてしまうので、行動しても上手く行かないということが起こってしまいます。この「信念」の思い込みの枠を変えることが必要なのです。
大切なのは「どうありたいか」「自分はどんな存在か」
ニューロロジカルレベルでは、上の段階の考え方が下の段階の思考や行動、結果に大きな影響を与えることが研究されています。なぜ不動産業で開業したいのか、厳しい道のりでもどうして実行しようと思うのか、あなたの大事にしたい「価値観」や自分がどんな存在でありたいのか、について明確にすると、信念の変化や、能力のつき方、行動への集中度がグっと加速されてくるでしょう。
目標を達成したり、やりたいことを成し遂げたりした人たちの多くは、「自分がこれをやることで、みんなが豊かになる」とか「自分にはその役割がある」など、自分をつき動かす原動力を持っていました。あなたがつき動かされる原動力や大事だと思う価値観は何でしょうか？「楽しさ」？「成長」？「人の役に立つこと」？「達成感」？それとも「収入」？思いつくままに出してみてください。
また、あなたはどんな人でありたいでしょうか？「自分は周りを幸せにする存在でありたい」「自分は自然を守る人でありたい」など、なりたい自分、ありたい自分を書き出して決めてみましょう。そうすることであなたの行動は足を引っ張られることなく、進んでいくことができるようになっていくはずです。大切なのは、下位の段階の環境や行動にフォーカスすることではなく、上の段階を明確に認識することなのです。
