明治維新から150年の時を経て、いまふたたび山口県が立ち上がる
地域商社やまぐち株式会社 首都圏メディアセミナー&試食会
田村 朋美
2018/04/23 (月) - 08:00

2017年10月、山口銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループと県内民間企業6社の出資により、「地域商社やまぐち株式会社」が誕生した。地域商社の狙いは、これまで良い産品であっても少量多品種のため首都圏への販路拡大が難しかった県内事業者の課題を、一気に解決に導くこと。地域商社が、首都圏や海外への販路拡大やマーケティング、ブランディングを担うのだ。その戦略のひとつが、優れた産品を磨き上げ、オリジナル商品群として売り出す「やまぐち三ツ星セレクション」。首都圏メディア向けに、そのお披露目が2018年3月27日、ホテル椿山荘東京で開催された。

サムネイル

かつて日本を動かした長州藩=山口県とは

本州最西端に位置する山口県は、古くから海外貿易や九州と本州を結ぶ要所「西の京」として栄えた土地だ。歴史的な遺産も多く、幕末の偉人たちによる明治維新にまつわる萩市、海商のまちとして栄えた柳井市など、昔ながらの美しい街並みが残る場所も多い。

また、日本最大級の広さを誇るカルスト台地の地下には、国の特別天然記念物に指定された秋芳洞など450を超える鍾乳洞がある。ほかにも日本三名橋の錦帯橋、日本屈指の絶景スポットでコバルトブルーの海にかかる角島大橋、山から海に向かって約100メートル123基の鳥居が並ぶ圧巻の元乃隅稲成神社など、さまざまな観光資源が、世界中から注目を集めている。

さらに、山口県は三方が海(日本海、瀬戸内海、響灘)に開かれているため海産物も豊富。温暖な瀬戸内の気候もあり、山、川、海の自然に恵まれた「食の宝庫」でもあるのだ。

地域商社やまぐちでは、「食の宝庫」である山口県の素晴らしい産品を首都圏や世界に向けて発信する役割を担う。県内事業者の支援や販路開拓、マーケティング、ブランディング等はもちろん、直接消費者に届けるEC事業の展開、そして現在、14社27商品がラインナップされている「やまぐち三ツ星セレクション」というオリジナル商品を売り出す。これは少量多品種で売りにくかった商品に付加価値をつけ、こだわりの逸品として発信するためだ。

「あなたの日常に“彩り”を」、「あなたの特別に“輝き”を」。この2つをコンセプトに、山口を感じる逸品を、全国、ひいては世界へ届けるために、地域商社やまぐちは本格始動する。

サムネイル

地域商社やまぐち 代表取締役 坪倉昭雄

「地域商社やまぐちは、民間資本100%で設立した会社です。山口県のこだわりの逸品を、首都圏を中心に広めることをミッションに生まれました。山口県が長らく抱えていた課題は、素晴らしい産品があるにも関わらず、なかなか県外に広まらないこと、売り込みがうまくいかないことでした。県外の方は特産品と聞かれたとき、「フグ」はすぐに出てきても、他がなかなか浮かばないという声はたくさん聞きます。

この現状を変え、山口や子どもたちの未来をつくるべく立ち上がったのが山口県と山口銀行でした。山口県産品の多くは「少量多品種」です。それを強みに、大量生産品にはない高品質でこだわりの詰まった付加価値のある産品を届けたいと考えています。日本中、世界中の人に、山口県の素晴らしい食を知っていただきたいですね。」

山口銀行 取締役頭取 吉村猛

「地域商社やまぐちの構想が生まれたのは約2年前。「山口にはいいものがたくさんあるのに、県外に紹介するには力が足りない」という県知事との会話がきっかけでした。地方銀行の役割は地元を元気にすること。現状を打破し、首都圏や世界に広める力をつけたいと痛感し、地域商社やまぐちが生まれました。

現在、全国各地で地域商社設立の動きが出ていますが、民間企業だけで設立された地域商社は山口県が先陣を切っていると自負しています。山口銀行は、山口フィナンシャルグループの一社で、グループには、もみじ銀行や北九州銀行などの地方銀行やコンサルティング会社、証券会社、保険会社にベンチャーキャピタルなどもあり、地域の情報やノウハウはグループ内に蓄積されています。

この強みを生かし、人材、資金、マーケティング、ブランディングを含めて「地域商社やまぐち」を全面的に支援していきたいと考えています。」

山口県知事 村岡嗣政

「今年は明治維新から150年で、山口県にとって大きな節目の年です。幕末の偉人たちが日本の未来を考え行動したように、山口県は地方創生を力強く推進していきたいと考えています。

山口県には、産業の集積地、豊かな農林水産資源、そして観光資源があります。2015年にNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で萩市が舞台になり、さらに同年5つの資産が世界遺産に登録されたことも後押しし、観光客が増加しています。定番の観光地以外にも、注目される絶景地が増えていることからも、山口県の観光資源は磨けばもっと伸ばせると思っています。

観光だけでなく、三方が海に開かれ、豊かな自然があるため、農林水産資源に恵まれており、それらを使った素晴らしい加工品もあります。ぜひ、この潜在力を伸ばしていきたい。一企業では難しかった首都圏進出や海外展開ですが、これからは民間で立ち上げた地域商社やまぐちが産品や加工品を磨き、ブランド化し、販路開拓を進めることで、この課題を解決に導きます。山口県は、その取り組みをバックアップしていきたいと考えています。」

人とモノをつなぐ「やまぐち三ツ星セレクション」

いくらでも手に入る安くて簡単なものではなく、手間ひまかけてつくった特別なモノを届けたい。――素材の力と作り手の思いを重ねて、プレミアムな美味しいモノを生み出し、世界中の人と山口県のモノをつなげるべく誕生したのが「やまぐち三ツ星セレクション」だ。

試写会では、山口県から事業者も参加し、すべての商品が豪勢に振る舞われた。会場に入ってまず目を引いたのは、洗練された商品のパッケージデザイン。地域商社やまぐちと事業者が侃々諤々の議論を重ねて作り上げているという。

そして何より驚いたのは、山口県産品や三ツ星セレクションを使った豪華すぎるビュッフェだ。フグやハモ、天然記念物の見島牛など素材の味が間違いないことはもちろん、スイーツなどの加工品である「やまぐち三ツ星セレクション」のクオリティが想像以上だった。その一部をご紹介する。

サムネイル

「岩国がんね栗 煌(こう)」
岩国市で採れる大型の和栗を1本に10個使用した贅沢なケーキ。がんね栗は和栗最大級の大きさと深い甘みが特長の希少品種だ。和三盆、ラム酒、和栗の上品な甘さが広がる、1本1万2000円(税別)のプレミアムスイーツで、手土産や贈答品として、また特別なシーンを演出できる逸品。

サムネイル

「夏みかんカクテルケーキ」
山口県萩産の夏ミカンと山口県の米焼酎「寝太郎」を使用し、秘伝の製法で作り上げたカクテルケーキ。じゅわっと充分に染み込んだお酒と夏ミカンのマリアージュが爽やかなケーキは、忙しい日常に癒しを与えてくれる。

サムネイル

「見蘭牛・男の粗焼きハンバーグ」
見蘭牛とは、天然記念物の見島牛の血を引く萩のブランド牛。出荷数は年間わずか100頭の希少な見蘭牛を100%使用し、つなぎを使わずに仕上げた、粗挽きハンバーグだ。和牛本来の柔らかさとコク、旨みを堪能できる至極の逸品。「本物の和牛」を味わえるハンバーグは、塩でいただく。

サムネイル

「季節を摘む「濃ジャム」」
ブルーベリー農園がつくる季節の果実を厳選してつくるジャム。ペクチンなどの増粘剤は使用せず、まるでフルーツを閉じ込めたかのような、ごちそうジャム(ブルーベリー、夏みかん、リンゴ、いちご)。果実本来の甘さや酸味が五感を刺激する逸品。

サムネイル

この他にも、
・大吟醸ケーキ「貴」
・自然薯あられふりかけ
・萩ゆず酢
・山口酒蔵めぐり漬セット(長州寒漬、奈良漬など)
・長州吟豚シリーズ (極あらびきポークウインナー、職人ベーコンのステーキなど)
など全27品の「やまぐち三ツ星セレクション」と、山口県を代表する食材を使った豪華料理がずらりと並んでいた。

サムネイル サムネイル

山口県を代表する食材で作った料理
・山口県下関市から直送した、とらふぐの刺身
・西京はものしゃぶしゃぶ
・下関漁港あんこうの唐揚げ
・山口県産のどぐろの干物炙り焼き
・長州黒かしわの治部煮と岩国れんこんの煮物
・天然記念物、見島牛のロースステーキ
And more

サムネイル サムネイル

山や川、瀬戸内の温暖な気候に恵まれた山口県ならではの素晴らしい食の数々。いままで山口県内で眠っていたこれらの「原石」は、これから地域商社やまぐちと事業者によって磨かれ、ブランド化され、世界中の人の日常を彩り、特別な日を演出する役割を担う。

「本当にいいモノだけを口にしたい」「本当にいいモノを贈りたい」。100年人生と言われ健康への意識が高まる今、やまぐち三ツ星セレクションをはじめとした山口県の産品は、首都圏富裕層をはじめ、幅広い層に受け入れられるブランドになるだろう。首都圏で本格的に流通が始まる日を楽しみに待ちたい。

Glocal Mission Jobsこの記事に関連する地方求人

同じカテゴリーの記事

同じエリアの記事

気になるエリアの記事を検索