2017年から18年にかけての年末年始は、土日と有給休暇を組み合わせ10連休以上という方もいらっしゃったのではないでしょうか。なかにはリフレッシュしたので新たな気持ちで仕事に、と思いながらも体がついていかない…いわゆる正月疲れを感じている方も少なくないでしょう。この疲れの原因と簡単回復法について取り上げます。
なぜ正月疲れが起こるのか
遠出をしたり、カウントダウンや初詣など普段よりエネルギッシュに遊んだりという方も増える正月休み。帰省などにより久しぶりに会った親戚等とのふれあいもあることでしょう。どんなに楽しい場であったとしても、普段と違う場というのは自然と心身が緊張し、多かれ少なかれストレスを感じやすくなるものです。
夜更かしや寝坊などによって普段からの生活リズムが崩れることも少なくありません。正月休みが長くなればなるほど、休み明けに「仕事モード」に切り替えようとしても大きなエネルギーが必要になりますが、体や心がなかなかついていかない…これが「正月疲れ」の原因です。
体調がいまいちだ、だるい、日中の眠気が続く…このような症状が休み明けに続いているようですと危険信号です。しばらくすれば治る…と放っておくことで「正月うつ」といわれる状態になる可能性もあるのです。
うつ病になりやすい年はじめ
それでなくとも冬は「冬季うつ病」と呼ばれる季節性のうつ病になりやすいといわれています。この原因は主に日照時間が短くなることにあるとされています。全国の平均日照時間は、夏至で15時間程度に対し、冬至では10時間程度とされています。特に北海道では6~8時間もの差が出ることもあり、より実感する方が増えるでしょう。
日照時間が短くなると、強い光を浴びることによって脳内で増える物質である「セロトニン」が減少することがわかっていますが、このセロトニンには精神安定の効果があることから、気分の落ち込みを呼びやすいと考えられています。さらに、睡眠に関連の深い「メラトニン」という物質の分泌が乱れることもわかっており、不眠や集中力の低下をもたらすのです。
正月休みをはじめとする長期休暇後の回復法
正月休みをはじめとする長期休暇明けには、うつ病をはじめとするメンタルヘルス不調のリスクがあることをご紹介しました。正月疲れを早く解消するための方法をいくつかご紹介しましょう。
太陽の光を浴びながらウォーキング
先述の通り、冬はセロトニンの量が少なくなりがちです。日照時間が短いなかではありますが、意識的に太陽の光を浴びるようにしましょう。そして、家の中でゴロゴロ寝正月だった…という方は特に、激しくない程度(少し汗ばむくらいが目安)の運動をすることが大切です。朝、近所を30分~1時間くらいウォーキングすると、セロトニン分泌が促され、さらに運動後の適度な肉体の疲れによって深い睡眠が得られやすい、乱れていた体内時計が修正され、寝つきが改善されるなどの効果が期待されます。
ぬるま湯でしっかり入浴
面倒だからシャワーで済ませることが多いという方は、ぜひ入浴を取り入れてみましょう。休み中に知らず知らずのうちにたまっているストレスは体の筋肉をこわばらせますので、38~40度程度のぬるま湯にゆっくり浸かり、血行を良くすることが心身のリラックスにつながります。
この入浴、実は以下で紹介する「睡眠」との関係も密接です。
睡眠
2017年の流行語ベストテンに選ばれたことでも話題になった「睡眠負債」。長期休暇中に不規則な生活をし、慢性的な睡眠不足になってはいませんか? 長期休暇中に限った話ではありませんが、日本人の睡眠時間は国際的に比較しても短く、各年代に必要とされる時間を下回る傾向であることがわかっています。
私たちの体の構造上、体温が1度上がり、そこから体温がぐっと下がっていくと眠くなるようになっています(ジムで全身運動である水泳を行った後、歩いて家に帰るころには眠気におそわれた経験をおもちの方もいらっしゃるでしょう。これは水泳中に上昇した体温が、自宅に帰るまでの間にちょうどよく下がったからだと考えられます)。
良質な睡眠を確保できるかどうかが、仕事のパフォーマンスにも、心身のメンテナンスにも大きな影響を与えます。そのためには睡眠と体温の関係を知っておくことが必要です。シャワーだけではなかなか体の芯から温まらず、体温も上がりづらいので眠りにつきづらくなることから、先述の入浴が大きな役割を果たすのです。
食事
疲労感がたまっているときは特に、ビタミンB群、カルシウム、鉄分を多く含む食事をとるようにしましょう。ビタミンB群は人間が生きるうえでのエネルギーをつくる栄養素で、カツオやマグロなどの魚類、納豆、レバーなどに多く含まれています。食欲不振のときは、納豆や山芋など消化にやさしい食品を意識的にとるとよいでしょう。
簡単回復法を4つ紹介しましたが、これらは特別なことではなく、少し意識すれば取り入れられる習慣かと思います。新年のスタートで出遅れ、そのまま2月を迎えることがないようにしたいものです。