毎日のように新聞やニュースなどで聞かれるようになった「働き方改革」。企業でも新たな取り組みを導入すると、すぐに話題になるほどです。しかし、企業側ではなく働く側の視点として、ライフイベントの影響を受けやすい女性だからこそ、「働き方」の前に考えてみたいことがあります。
女性の30代?40代はライフイベントのピーク
2016年は「女性活躍元年」、2017年は「働き方改革元年」などと言われ、官民ともに日本人の仕事や仕事に対する在り方の関心が高まり、大きな変革期に差し掛かったと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、振り返った時に、過去には1986年4月に「男女雇用機会均等法」が施行され、共働き世帯がそうでない世帯を上回り始めてから20年以上経過しているにもかかわらず、2016年版男女平等ランキングで対象国144ヵ国中、日本は111位(※)という衝撃的な順位であったことや、企業などにおける女性管理職の割合、待機児童問題など、いまだ変わらない様々な調査結果も周知の通りです。
女性の平均初婚年齢が30歳を超え、結婚や出産、育児、夫の転勤、親の介護などにより、働き方を変えたり、働き続けることを断念したり、女性は、男性よりもキャリア形成において影響を受けることが多いのは事実です。また、30歳前後になると、職場ではベテランの域となり、独身者でも既婚者でも前向きに働き続ける女性は重要な職務を任され、管理職に昇進する方もいますので、このように女性が迎えるであろうライフイベントのピークは、30代?40代に集中することが少なくありません。
仕事以外にやりたいことは何ですか
ワークライフバランスの中で良く議論される「ワーク」か「ライフ」か。しかし、本来は「ワーク」は「ライフ」の一部であり、二者択一ではありません。また、現代社会における長時間労働やメンタルヘルスなどの問題から、ワークライフバランスの向上には「労働時間短縮」や、「生産性向上」などに焦点が置かれます。かくいう私も裁量労働制度で長い間働いていた経験上、無駄な作業は極力省き、効率良くすることに注力しますが、それはなぜそうするかと言えば、「仕事をがんばりたい。でも家庭の時間や育児も楽しみたい。そして、自分の時間も欲しい。」それらのどれかをあきらめるのではなく、どれも経験したいと強く思っているからに他なりません。
これは筆者である私のケースですが、あなたのライフに置き換えてみたときに、「職場以外の時間に何かやりたいことがある」という気持ち無しに、ただ働くのではなく、大切な人生の中で、「どう生きたいか」を一度じっくりと考えてみるのはいかがでしょうか。
なぜなら、私は企業で働く20代?40代の女性からキャリアカウンセリングをお受けしている中で、「ワークライフバランスは崩したくない」と言われる方がとても多くいらっしゃるからです。「前職で体調に支障が出てしまったので」、という理由の方もいましたが、一方で「定時に帰れるようになったら、時間が余ってしまって、何をしたら良いかわからなくなってしまった」という方もいました。このような心境を経験したことはありませんか?残業が何日も続き、その間はフラフラになりながらなんとか乗り切るも、仕事のピークが過ぎて早く帰宅すると、逆に「不安」を感じるのです。
『生き方ファースト』で考える自分働き方改革
「LIFE SHIFT」100年時代の人生戦略 (リンダ・グラットン著)を読んだ方も多いかもしれません。かつては人生80年と言われる時代には、40歳が折り返し地点でした。しかし、人生100年時代と考えたとき、折り返し地点は50歳です。一度きりの人生の中で、「経験してみたい」、「味わいたい」と思うことはありませんか。ふと感じたその「不安」を、仕事をすることで埋めるのではなく、「学び」、「家族」、「友人」、「趣味」、「健康」などに関する時間にあててみましょう。
「人生は仕事だけじゃない」と気がついた人から、ハッピー・キャリアが始まります。それは、仕事以外のやりたいことをあきらめたり、後回しにしたりせずに、「今」を大切にすることです。そう気がついて仕事以外の時間を先に意識することで、巡り巡って、仕事にも良い影響を与えていきます。
毎日の生活の場面で、迷ったり、悩んだりしたら、親や家族、友人や知人などに相談することがあると思います。しかし、中にはドリームキラーと呼ばれるような、否定的な言葉を掛けられることもあるでしょう。そのような時、まわりからの意見や他大多数の生き方を参考にあきらめてしまうのではなく、自分から湧き上がる思いで進みたい道を選択しましょう。
それは、「働き方」というよりも、「生き方」。女性はライフイベントの影響があるからこそです。まずは「自分がどう生きたいか」を決めることを先にして、その後に働き方が自然に決まってくる。「働き方改革」が叫ばれている中で、女性は『生き方ファースト』で自分働き方改革を考えてみることを、お勧めします。
(※)出典:内閣府男女共同参画局 http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2016/201701/201701_04.html