皆さんの勤める会社では、副業・兼業は認められていますか?就業規則で禁止されているという方も少なくないでしょう。安倍内閣は現在「働き方改革」の一環として、この副業・兼業の緩和に向け動いています。現在厚生労働省が作成している「モデル就業規則」では、労働者の遵守事項として「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」との文言が入っており、原則「副業・兼業NG」となっていますが、これを「原則OK」に変更する方向で協議されています。また、将来的にはガイドラインの策定も見込まれています。
「大手有名企業に就職できたから安泰」の時代は終わった
正社員の副業・兼業が容認されるようになりつつある中、働き方も多様化し正解のない時代に突入しているといえます。近年の報道でもソニー、シャープ、東芝などの家電メーカー、バーバリーとのライセンス契約が終了したアパレルメーカー三陽商会など、大手有名企業で経営不振に伴うリストラが相次いでいることが大きく取り上げられているように、もはや大手有名企業に就職したから「終身雇用」に守られ将来安泰とは言えない時代になっています。倒産やリストラなどで転職を余儀なくされるときに、所属していた会社でしか通用しないような汎用性に欠けるスキルが多いのか、どこの会社でも引っ張りだこになるようなスキルを持ち合わせているのかといった、ビジネスパーソンの市場価値が問われるようになると考えられます。
副業・兼業のメリットとは
「副業」というと、本業に加えての副収入という意味合いだけで考えがちですが、メリットはそれだけではありません。
たとえば、社外の勉強会に参加することで自社以外の職場でのやり方に触れ、視野が広まった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないかと思います。副業を目の前のお金稼ぎとだけ考えるのではなく、本業以外の情報ルートや人的ネットワークを得るという発想を持てれば、これまで考えもつかなかったようなアイデア・発想が生まれる可能性も高くなります。副業で得られたノウハウを、本業に活かすこともできるのです。安倍内閣が副業・兼業の緩和を進めようとしている理由の一つには、「勤め先に縛られない自由な発想が得られ、経済の活性化につながる」という狙いがあることからも、副業のメリットが伺えます。
所属会社の看板に頼らない自分の強みを考える
副業・兼業解禁になったとしても、もちろんすべての人がしなければならないというわけではありません。ただし、現在自分が行っている業務が「会社の看板」ありきでできているのかということはしっかり自己分析をしておくべきでしょう。
筆者自身も東証一部上場企業の会社員時代を経て会社を設立しましたが、所属していた時にはそこまで強く意識していなかった「上場企業」の看板の大きさを、独立後に感じた経験があります。知らず知らずのうちに所属会社の看板に頼って仕事をしていると、その看板が外れたときに苦労します。最終的に頼れるのは自分自身であることから、大きな看板ばかり頼ったり依存したりしないように、自分の「強み」について考えておく必要があるでしょう。
自分の強みを棚卸できていない方は、SWOT分析を取り入れることをお勧めします。SWOT分析は主に企業分析に使われる手法ではありますが、自己分析にあてはめて活用することが出来ます。SWOTとは強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の頭文字で、自分でコントロールし得る内的要因が「強み」と「弱み」、自分の努力だけでは変えられない外的要因が「機会」と「脅威」になります。市場の動向や技術の革新などが代表的な外的要因です。 今会社員の皆さんに近づきつつある「脅威」は、副業解禁に端を発した終身雇用の崩壊や企業の安定であるかもしれません。皆さん自身の力で今からできること、それは内的要因である「強み」を強化し、弱み部分をどうカバーするかを考えることではないでしょうか。