「色々な分野の人と意見を交換して刺激し合い、自分たちが取り組みたい課題や関心事をカタチにしていく」ことを目的に開催された、1年間の参加型イベント、IGNITE(イグナイト)!が、コワーキングスペース「富士見 森のオフィス」(長野県諏訪郡富士見町)で開催されました。初回が開催された1月23日は、40人の定員を超え、50人を超える人が集まりました。今回は、その様子をご紹介します。
地域社会に役立つようなムーブメントへと発展していく流れをつくりたい
この日は、地元企業のEPSON社員、フリーランスのデザイナーやプログラマーから、アーティスト、農家や機械整備士、地元の議員、都心からは大学教員など、さまざまなバックグラウンドをもつ人が集結しました。
まずは、イベントの主催者でありファシリテーターの、森のオフィス運営スタッフ松井彩香氏から、イベントの趣旨と流れの説明がありました。
「小さなものから大きなものまで。地方には解決してほしい課題がたくさんあります。仲間がいない、いまいる社内ではアイデアが出ない、やりたいことが見つからない…。地方地域、都心、農家から福祉関係者、建築家、プログラマー、クリエイターまで、バックグラウンドが違う人々が集まり、刺激を与えあい、なにかに取り組み、地域社会に役立つようなムーブメントへと発展していくような流れをつくれないか?…」と、この企画に込める思いが共有されました。
そのなかでも特にポイントとして語られていたのが「計画的偶発性」。
「人のキャリアの8割は予想できない偶発的な出来事によって決まるという理論があります。偶発的な出来事は待っていても来ませんが、自らつくり出すために積極的に動いたり、いま目の前で起きている出来事や出会い、変化に神経を研ぎ澄ませることで、チャンスをつくり出すことができるはずです」
オープニングトークは「人を巻き込むサービスの育て方とマインドセット」
オープニングトークとして、森のオフィスの運営代表であり、Route Design合同会社 代表の津田賀央(よしお)氏が登壇。
「森のオフィスの2年間を通じた、人を巻き込むサービスの育て方とマインドセット」というテーマで、コワーキングスペース「富士見 森のオフィス」の立ち上げから現在までを、自身のこれまでのバックグラウンドや遍歴を通じたマインドセットと織り交ぜながら解説されました。
「立ち上げ時は周囲の環境や自分自身がやりたいことに翻弄されましたが、次第に2つのポイントを絞って集中するようにしたことで、周りに翻弄されずに進めていくことができるようになりました」
その2つのポイントとは…
1.共感を醸成する
行動指針となるVISIONを描き、一人一人に語りかける
2.課題を解決すること
「いま使ってくれている利用者はなにを解決したいのか?」に焦点を絞り、実現する
VISIONを利用者や訪問者と共有しながら、いま目の前で起きている利用動向にフォーカスし、一人ひとりがどうやったらもっと使い勝手がよくなるか、ディスカッションやアンケート、個別ヒアリングなどを繰り返し、館内の機能性と雰囲気をつくっていったそうです。
「シリコンバレーのインキュベーション機関「Y Combinator」のポール・グレアム氏の有名な言葉に『スケールしないことをしよう』という言葉があります。規模を拡大する前に、目の前の利用者の満足度を高め、共感してもらうこと。ここにフォーカスするという話は、新規スマホアプリでも、地方地域のコミュニティー施設でも、同じことだと考えています」
最後に、新しいことを始めようとするときのマインドセットについて、自身の考え方が共有されました。
新しいことを始めるときのマインドセット
何か行動をするとき、「実験」と捉える。
「実験」と捉えれば、自ずと動きは軽やかに、コンパクトになる。
これは、プロトタイピングでも同じ。
自身をプロトタイプとみなし、実験的に動いてみよう。
自分にとってのモチベーションとは? “ワイガヤ”ディスカッション
イベント後半では、ワークショップが開催されました。
参加者に「自分にとってのモチベーション」「いまの自分の関心事」というテーマでポストイットにキーワードを書き出してもらい、壁に貼り付けていきました。
カテゴライズしながら、それぞれのカテゴリーに興味のある人でゆるく集まりながら、“ワイガヤ”ディスカッションを開催。お酒や食事もしながらの会話となりました。
ここで出た興味対象などを、通年プログラムの後半に向けて具体化し、プロジェクトにしていく予定です。
こうして、第1回のIGNITE!参加者からは、
「想像よりずっと多くの業種の方と交流ができ、大変刺激になりました! 次回もぜひ参加します」
「とても刺激的で、楽しい時間でした。いつもと違うコミュニティの方々と話すだけで新しい気づきが多いです」
「多くの人、価値、想いを前向きに考えてきた人と同じ時間を過ごせて良かったです」
という声が多くあがりました。