大企業には安定した経営基盤や、高収入・高待遇など、働く上でのメリットがあります。一方で、中小企業にも、中小企業ならではのメリットややりがいがあるものです。今回は筆者の経験も踏まえて中小企業で働くことのプラス面やその働き方が向く人について解説します。
早くから経営全体に関われる
まず、大きなメリットといえるのが、入社後早くから経営全体に関わることができる点です。中小企業では、働く人数が少ない分、若いときから全体に関わり、責任をもって仕事をすることができるといえます。大企業では経営の全体像に携われるような責任あるポジションで働けるのは早くても40代後半、企業によっては50代以上になってからのことも多いものですが、中小企業ではそのようなことはありません。筆者も中小企業で20代後半ではマネジメント職につき、30代後半では会社の経営部門への提案なども行ってきました。
これは転職で中小企業に入社した場合の速度、という意味でもいえることです。中小企業にはなかなか社内に経営全体を見ることができる人材が育っていない場合もあり、転職者に対して即戦力で力を発揮して欲しい、会社を改革できるような力がある人に来て欲しい、というニーズで採用を行っている状況も多く見受けられます。入社して数年は携われない、などということはなく、入って短期間でその仕事をしたい、という要望は叶えられやすいでしょうし、管理職として入社した人は、早くから経営会議などにも参加することができる可能性も高いでしょう。
チャレンジでき、自分の成長を実感できる
また、中小企業での仕事には、自分のチャレンジや成長が実感できるというメリットがあります。これは、筆者が転職をした際にも感じたことですが、大企業の場合、どうしても自分の企画や提案が通る速度が遅いのです。自分ひとりだけですべての企画を考え抜くことも少なくなりますし、直属の上司にOKをもらったとしても、大きな案件の場合、役員会議まで何度も承認を取らないと物事が動かない、ということが非常に多くあります。GOサインが出るまでに何カ月もかかったりすることはよくあることです。
しかし、中小企業の場合は、決定権がある役員までの人数が少ないので距離が近く、その企画や提案が通るか通らないかの判断スピードが速いのが特徴です。株式上場はしていない企業や数十人以下の規模の企業の場合などでは、時には直接社長に意見を伝えて即決された、ということもあり得ます。大きなポジションも任せて貰えるので、大企業の一員として働き続けるよりも、自分自身のスキルが磨かれ、成長につながるといえるでしょう。いままでの自分の専門分野だ、という制限を自分にかけずに勉強し、自分から働きかけることで、チャレンジする機会も多くもてるはずです。
自分の働きの影響を実感できる
さらに、中小企業の特徴として、一人ひとりの力が大きく影響する、という点が挙げられます。従業員数が少ないので、個々の働きによる違いが如実に結果として表れてくるのです。以前私がいた企業でも、転職してきた方が部長職につき、いままでの人事制度の給与体系と大きく違った内容の導入を決断しました。それによって退職者が大きく減り、人材の定着が進むようになるなど大きな変化が表れました。大車輪でどんどん案件を進めていったので、わずか2年ぐらいの間のことです。小さな企業では、1人の力によって速いスピードでそういった仕事を行っていくことも可能なのです。
向いている人とは
いままで述べてきたように、中小企業での仕事には自分自身にとって多くのメリットがあります。物事の全体像を捉え、そこに影響力を発揮していきたいと考える人、自分から問題意識をもって提案改善を行っていきたい人、自分自身の仕事のスキルを向上させていきたい人、不確実な状況に対応できる柔軟性がある人には向いているといえるでしょう。
大企業における「大きな組織の中で決められた役割をしっかり行う、会社から指示された配属やポジションに従って働く」という仕事に飽き足りない人は、中小企業での仕事にチャレンジしてみることもおすすめです。もちろん、中小企業の中にもさまざまな会社があり、このような仕事の仕方が難しい会社もあるかもしれません。会社を選択する際にはしっかりした観察が必要なことはいうまでもありませんが、特徴や考え方をもっている人であれば新しい仕事の中で成果を出すことができる要素が高いはずです。
「もっと仕事で自分の力を発揮してみたい」のであれば、地方を含め、全国に人材を求めている可能性を秘めた中小企業が多くあります。その点も選択肢のひとつに考えてみてはいかがでしょうか。