新型コロナ感染症(COVID-19)拡大の影響で、テレワークやオンラインでの会議は新しい働き方としてすっかり定着したようです。このような働き方改革を進めて人材の確保や経費節減を図る一方で、大手企業では社員に副業を解禁する動きが出始めています。
以前、副業といえばなんとなく後ろめたいイメージもあったものです。それが、なぜ今になって副業を勧めるようになったのでしょうか?また私たちは、どのように対応したらよいのでしょうか?
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副業元年は2018年
2018年1月、政府は働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。2016年に副業・兼業禁止規定の見直しが発表され、副業が「原則禁止」から「原則容認」になったことで政策を変更したためです。これに伴い2019年(平成31年)、厚生労働省が提供しているモデル就業規則 第14章から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、以下のように変更されました。
第14章 副業・兼業
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
1 労務提供上の支障がある場合
2 企業秘密が漏洩する場合
3 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
4 競業により、企業の利益を害する場合
このようなことから2018年は「副業元年」ともいわれていますが、実際には会社への届出方法が複雑であったり人事部門の承認を必要とするなど、会社が積極的に副業を推奨しているというにはほど遠い状況でした。
進み始めた副業の解禁
ところがコロナ禍となった2020年を境に、企業が社員への副業を推奨する動きが目立ち始めました。たとえば損害保険会社大手の東京海上日動火災保険では、2021年1月から全社員約1万7千人を対象に副業の推奨を始めています。東京海上日動火災保険では副業推奨の理由を「異業種で経験を積むことで社員の能力を伸ばしたり、働き方を柔軟にして企業としての魅力を高めたりする」と説明していますが、企業が副業を解禁する理由には以下のようなものがあるといわれています。
・従業員の収入増
・従業員の離職防止
・人材育成
・従業員のスキル向上
コロナが後押しする副業解禁
コロナの感染拡大による影響で、業績の悪化する企業が出始めています。経営を安定させるために人件費削減(残業の抑制や給与の昇給見送り)を続けていれば、離職率が高くなってしまうことも考えられます。企業には従業員に副業を容認し、収入を増やして(補完して)貰うことで優秀な人材の離職防止に活かす目的があります。
また株式会社ディー・エヌ・エーでは、2017年から「クロスジョブ制度」と「副業制度」を導入しており、会社内の別事業部や社外で現在と異なる職種を経験することで、従業員のスキルアップに繋がるように支援しています。
副業は従業員だけでなく、企業にもメリットがあるのです。
従業員が副業をするメリット
企業としては上記のようなメリットがありますが、従業員には副業することによりどのようなメリットがあるのでしょうか?
・収入が増える
一番のメリットは副業による収入増でしょう。本業の収入減による住宅ローンなどへの支払い遅延を回避でき、生活を安定させることに繋がります。
・自分のペースで働ける
副業の内容にもよりますが、個人事業主となるような働き方の場合、自分のペースで仕事ができるというメリットがあります。誰かに指示されて働くのではなく、主体性をもって働くことはストレスの軽減になります。
・定年がなくなる
上記のように個人事業主として働くのであれば、年齢による定年がなくなります。人生百年時代といわれ、平均寿命よりも長生きできる可能性が高くなっている現在、本業の定年後に収入が確保できることは心強いでしょう。
・本業のスキルを活かせる
たとえば本業がIT関連などの場合、あなたのまわりにはITに詳しい社員が大勢いることでしょう。この会社ではあなたの持つITの知識を十分に活かすことができませんが、IT人材の少ない企業であれば本業のスキルが活かせます。副業する先を、本業とは違う分野にできるというのも副業のメリットです。
・新しいスキルを習得できる
副業する先を本業とは違う分野にするということは、新しいスキルが獲得できるチャンスでもあります。本業では得られない新しい考えやスキルを獲得できることは、次に繋がる大きなメリットです。
・人脈を広げられる
新しいスキルも大きな資産となりますが、本業では知り合うことができなかった人脈を得られることも貴重な資産といえるでしょう。人脈を広げておくことは、お金では買えない「機会」を得ることに繋がります。
まとめ
今後さまざまな企業が副業を解禁していくことにより、以前はあまり表には出せないお小遣い稼ぎという印象もあった副業が、もっと一般的なものになっていくことでしょう。副業を検討する場合には、短絡的に判断せず複数のメリットが得られる、あなたのスキルとマッチするものを選んでいきましょう。
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