古都京都をはじめとして日本文化発展の地となった近畿地方には、数々の歴史遺産と文化、多くの自然が残っています。地方移住には豊かな自然と共に暮らす楽しみがありますが、近畿地方なら、これに加えて歴史と文化をゆったりと楽しむことができるでしょう。今回は、近畿地方の各自治体が運営する移住支援サイトをご紹介していきます。
地方移住の際に注意すべきこと
地方移住の際には仕事の確保や人間関係の構築等、いくつか注意するべき点がありますが、意外とトラブルになりやすいのが住居問題です。移住して集合住宅（アパートなど）を借りるような場合は問題ないのですが、戸建てを購入したり借りる場合には注意が必要です。
特に自治体のサイトに掲載されている「空き家バンク」を利用する場合、賃貸や売買の契約を貸主（もしくは売主）と直接交渉しなければならないことが多いのです。このような場合、住める状態にするまでのリフォーム代や賃貸後の原状復帰の費用が、契約後に問題となるケースが多くあります。
家選びの際は、何度も現地に足を運び、納得するまで条件の確認と建物の調査をすることが大切です。地方移住を機に古民家で暮らしてみたいという方も多いと思いますが、古い家はそれなりのリフォームが必要ということを忘れないようにしましょう。
近畿地方の移住支援策
それでは具体的に、近畿地方各府県の移住支援策を見ていきましょう。ここでは近畿地方の中でも大阪府を除く、京都府、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県を取り上げます。
・京都府
京都府は移住情報サイト「今日と明日」を、府の農林水産部 農村振興課が運営しています。京都というとどうしても神社仏閣や観光名所の多い京都市内のイメージが強いものですが、府の形は南北に長く北側は日本海にも面しています。この移住情報サイトでは、主に丹後、中丹、南丹（京都市の上、日本海側）と山城（京都市の下、奈良県に近い地方）の４地域を扱っています。
京都府は上記の地域を中心に、移住促進特別区域として16市町村103地区を指定しており、本サイトから空き家の情報や農地の検索、支援策の確認ができます。また移住に関わる相談窓口として大阪（大阪市中央区）、東京（千代田区有楽町）、京都（京都市上京区）に出先を設けているほか、テレビ会議システムのskypeやZoomを使ったオンライン相談も受け付けています。
・三重県
三重県は、県の地域連携部 地域支援課が移住支援サイト「ええとこやんか三重」を運営しています。このサイトでは「豊かな自然と地方都市の機能性を備えた三重県」をスローガンに、三重県の魅力を強力に発信しています。このサイトの魅力は、その膨大な情報量。毎月かなりの数で開催される移住セミナーに加え、移住体験イベントの情報や先輩移住者の動画などが頻繁にアップされています。
中でも空き家バンクの情報は充実していて、南北に長い三重県を「北勢エリア」、「中勢エリア」、「伊勢志摩エリア」、「伊賀エリア」、「東紀州エリア」に分けてわかりやすく検索することができます。まさに「豊かな自然」と「地方都市の機能性」を持つ、三重県ならではのエリア分けとなっているのです。他にも暮らしや仕事、応援制度にわかりやくすアクセスできる、三重県の魅力が満載のサイトとなっています。
・滋賀県
日本最大の湖、琵琶湖を有する滋賀県は、移住ポータルサイト「滋賀ぐらし」を運営しています。滋賀県の魅力は、自然が豊かなことに加えて京都や大阪の都市圏に近いこと。米原駅から名古屋まで新幹線で30分、大津駅からなら在来線で京都まで10分、大阪まで40分という至便さです。このようなことから移住希望者の中には、二地域移住（二拠点居住）を考えている人も多いようです。
また本移住ポータルサイトには、先輩移住者のインタビューが非常に多く掲載されています。いずれも他県からの移住や、UターンやIターンで移住された方々で、このインタビューを見れば、滋賀に移住した人たちの満足度が高いことを確認できるでしょう。
・兵庫県
兵庫県は、県からの委託を受けた一般社団法人ノオトが「ひょうごBENTO」というサイトを運営しています。本サイトは地方移住に限らず、還流という考え方（人生の一時期をローカルならではの自然環境と人とのつながりの中で暮らし、豊かな価値観を育む）をベースに、自分なりの生き方を探していくサイトになっています。サイト内には「働く」、「住む」、「観光」、「出会う」というカテゴリーが用意され、定住でも一時の移住でも、人それぞれが兵庫県で「新しいきっかけ」を見つけられるようになっています。
・奈良県
京都と並んで歴史的建造物の多い奈良県は、県の南部・東部地域にある「奥大和地域（19市町村）」への移住を推進しています（奈良市は北西部地域）。
奥大和地域は、山岳地帯の奈良県南部と高原が広がる東部から構成されていて、自然豊かで新鮮な農作物も豊富にある地域です。県の奥大和移住・交流推進室が運営する移住ポータルサイト「Local Life」では、奥大和の概要、仕事や住まいの紹介、市町村ごとの移住支援制度、セミオーダーメード型移住体験ツアー（参加者の希望する日にち、内容に合わせてツアープランを提案）の受付などが掲載されています。
・和歌山県
和歌山県では県の企画部 地域振興局 移住定住推進課が「わかやまLIFE」という移住ポータルサイトを運営しています。本サイトには「How to」、「Work」、「House」など、移住のためのカテゴリーが用意されていますが、ユニークなのはWork（仕事）です。広く海岸線に面し山も多い和歌山では農林水産業が盛ん。普通の地域のように地元の企業で働く他に、農業や漁業、林業などさまざまな職業が紹介されています。また就業（独立経営）した場合には農林水産就業補助金が最大50万円支給されるなど、地方移住を機に農業などを行ってみたいという人には最適な移住先となっています。
まとめ
今回紹介した近畿地方6県は、大阪や名古屋、京都などの都市部に近い地方です。地方移住とは言っても、都市部で働きながら週末の田舎暮らしを楽しむなど、新しい生活形態を始めやすい土地といえます。年間を通じた気候の変化も比較的穏やかな近畿地方。海があり山がある暮らしを、一年中楽しむことができるでしょう。
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