ついに到来した大副業時代!パワフル副業者が企業を変える
GLOCAL MISSION Times 編集部
2021/11/16 (火) - 19:00

一昔前まで、副業は本業の勤務先に隠れて行うもの、または大きな声では人に言えないものでした。ところが2018年、政府の実質的な副業の容認によって状況は大きく変わり始めます。新型コロナ感染拡大の影響を受けたテレワークの普及により、副業はスキルを持つ人の強い武器となって、今ではパワフル副業者と呼ばれる新しい働き方を実践する人たちが登場してきました。今回はパワフル副業者誕生の背景と、旧来の企業体質をも変えてしまう、そのインパクトについて考えていきます。

パワフル副業者とは?

「パワフル副業者」とは近年Webを中心として使われるようになった言葉で、正確な意味や定義があるわけではありません。ですからそのイメージはあくまで一般的なものですが、大きくは「副業で本業に匹敵する収入を上げている人」と捉えればよいでしょう。ただし本業より副業で安定的に稼ぐことは、行き当たりばったりではできません。パワフルと呼ばれるからにはそれなりの理由があり、以下のような特徴も持ち合わせていることが多いようです。

・本業に匹敵、もしくは超える収入を副業で稼ぐ
副業というと本業での収入を補完するようなイメージがありますが、パワフル副業者の中には本業の収入をはるかに超える収入を得ている人もいます。

・単純作業ではなく自分のスキルを最大限に活かした仕事をする
副業において、誰でもできる単純作業などでは満足な収入は得られません。パワフル副業者のほとんどは、優れたプログラム力や卓越した企画能力など、高いスキルを活かした仕事を行います。

・業務委託や委任など、依頼に合わせて柔軟な契約形態で働く
パワフル副業者は、個人事業主もしくはフリーランスの立場で仕事を請け負います。パートやアルバイトのように雇用契約をするわけではなく、業務委託契約などを結んで仕事を行います。これは依頼に合わせた柔軟な契約形態で働くと同時に、自分の権利を守るしっかりとした契約の元に働くということでもあります。

・本業以外に複数のクライアントから仕事を請ける
多くのパワフル副業者は、複数のクライアントから仕事を請け負っています。仕事の内容と報酬のバランスで仕事を選んでいるのです。

副業普及のきっかけは副業の容認とテレワークの普及

このようなパワフル副業者の登場には、いくつかの理由があります。まずは政府による副業の容認です。2018年に政府は、働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン 」を発表しました。この中で副業は2016年の「副業・兼業禁止規定の見直し」発表に伴い、原則禁止から原則容認に変更されているのです。つまり2018年から、企業は原則として従業員の副業を禁止することはできなくなりました(ただし本業に支障が出る場合や企業秘密の漏洩に関わる場合など、禁止の条件はいくつか存在する)。

もう一つは労働環境の変化です。新型コロナ感染症拡大の影響で、企業も従業員もテレワークのできる環境が整いました。これにより企業は外部に仕事を委託しやすくなり、副業者側も時間や場所を問わず、副業を行うことが可能となったのです。

またこれらの変化は、古くから日本企業が用いているメンバーシップ型雇用(年功序列、終身雇用などを前提とした雇用形態)からジョブ型雇用(業務内容や職務内容を明確にし、労働時間ではなく成果で評価する雇用形態)への転換点ともなる変化でした。

立場が逆転し始める企業と従業員

メンバーシップ型雇用は年功序列が基本で、若い社員の収入は高くありません。一方ジョブ型雇用は、仕事で評価されれば年齢には関係なく収入を得ることができます。つまり若くて実力のある社員ほどジョブ型雇用を希望する傾向にあるとも考えられ、メンバーシップ型雇用を無理に押しつけることは、人材の流出を招くことにもなりかねません。

パワフル副業者は、ジョブ型の仕事を複数の企業に対して行うジョブ型雇用の発展型ともいえます。既に企業環境は「会社に合わせることを人に強いる」のではなく、「仕事に人を合わせる」時代になっているのです。企業は正社員一辺倒の組織ではなく、副業人材やジョブ型雇用の人材を混成した、新しい組織を模索する必要があるでしょう。そしてこれは、仕事の切り出しがしやすい、製品やサービスの開発・販売などを主体とする企業でより顕著になると考えられます。

パワフル副業者は企業を活性化させるカンフル剤になる

「パレートの法則」や「80:20の法則」といわれる法則があります。イタリアの経済学者が発見したこの法則は「会社の売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している」というように使われます。古くから日本企業が用いている、年功序列、終身雇用のメンバーシップ型雇用では、この法則を変えることはできないのかもしれません。パワフル副業者の登場は、期せずしてジョブ型雇用の重要性や日本型企業の非効率さを明確化させました。副業人材やジョブ型雇用を否定的にとらえるのではなく、自らの企業にこの人材を活かすことで業務効率の向上を図ってはいかがでしょうか。

<参考サイト>

メンバーシップ型雇用とは?ジョブ型雇用との違いやメリット・デメリット、移行すべきかを解説
https://www.ashita-team.com/jinji-online/personnel_management/11131#i-2

本業より副業で稼ぐ「パワフル副業者」急増で企業に求められる新しい組織づくり
https://dime.jp/genre/1076364/

「パワフル副業者」現る 本業+400万円、技能で稼ぐ
https://nowtice.net/news/868353/

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