都会から地方への移住は想定外のお金がかかる、成功させるポイントとは?
GLOCAL MISSION Times 編集部
2021/11/19 (金) - 18:00

働きざかりの夫婦に子どもが一人の家庭が日本の首都東京で生活すると、毎月いったいどれくらいのお金がかかるのでしょうか?その一方で、同じ家族が都市圏から遠く離れた地方で暮らすと、どの程度の生活費が必要なのでしょうか?

地方で暮らすほうがずっとお金がかからない、というのが一般的なイメージでしょう。しかし、現実はちょっと違います。実際に地方移住をしてみると、予想外にお金がかかるものなのです。その理由は何なのか、対応策はあるのか、それらの問題点についてここから一緒に考えてみましょう。

地方における日常生活の実態

都会から自然が豊かな地方に移住して、毎日自分のペースで仕事に励み、生活費を上手にやりくりすれば、都会とは違って金銭的にはかなりの余裕ができるはず。まずはこのイメージを前提に、地方での日常生活をシミュレーションしてみます。

●地方生活での主な出費
居住圏が密集した市街地を離れて、周りを自然に囲まれた地で生活を始めるとしましょう。移動手段は車に限られるため、最初に車を購入しなければなりません。家族がいれば、最低限夫婦それぞれに1台ずつは必要です。これは住居と同様に、移住のための初期投資といえるでしょう。

毎日通勤して働くとなれば、ガソリン代がかかります。地方では半径15~20km程度を日常的に移動するので、外出する用事や買い物なども含めると、テレワークを除けば夫婦でほぼ毎日車を使うことになります。大まかな数字ですが、車1台あたり月々1万円程度のガソリン代は必要になるでしょう。

次に光熱費関係ですが、これは集合住宅と一戸建てとで大きく異なります。せっかくだから一戸建てに住もうとなれば、水道、電気、ガス、下水道などは個別契約になり、基本料金も含めて毎月かなりの出費になります。特に水道料金とガス代は、都会よりも地方のほうがずっとコストがかかります。

このように地方での生活では、毎日の生活を維持するためのコストが、都会での生活よりも多くかかります。また家族が増えたり、子どもが成長したりすると、生活維持コストが増えることも知っておくべきでしょう。

●想定外の収入と出費
次に、支出に対して収入面について考えてみましょう。都会での仕事をそのまま継続して、テレワークで働くケースを除けば、地方の移住先で仕事を探すことになるでしょう。その場合以前と同じ仕事に就くとしても、収入が大きく減少することは避けられません。都会と地方との間には、厳然たる賃金格差があるからです。

もう一つ都会とのギャップを感じるのが、収入に対する課税割合の高さです。地方の自治体は慢性的に収入が不足しているので、住民税や国民健康保険料などが高めに設定されています。国民健康保険料は自治体ごとに算出基準が異なるため、一概に地方のほうが高いと決めることはできませんが、それでも全国的に地方での金額の高さが目立ちます。

ここまでの検証結果をまとめておくと、地方での生活は収入が少ないにもかかわらず、生活の維持費と想定外の出費により、収支バランスがあまりよくないことが分かりました。こうした点を事前に検討してから、地方移住を決める必要がありそうです。

地方移住を成功させるポイントとは?

実際に地方移住を決める時には、イメージと現実とのギャップを受け入れる必要があります。その上で、どうすれば移住生活を成功させられるか、そのポイントを考えてみましょう。

●移住する地域は慎重に選ぶ
都会から一気に、人里離れた一軒家に移住するのは無謀といえます。生活維持のコストを節約するなら、スーパーや量販店、病院、学校などがある、地域の中心地に近い場所を探すことが重要です。憧れの田舎暮らしは、地方での生活に充分慣れてからでも遅くはありません。

●地方の利点を最大限に活かす
地方には物価が安いという利点があります。収入が少ない点は、家計の上手なやりくりでカバーできるかもしれません。特に地元産の新鮮な食材が、都会よりもずっと安く手に入るので、食生活を工夫すれば生活費の節約をしながら健康増進も可能です。住居の購入や賃貸も、都会に比べるとはるかに低コストです。

また自然が豊かな地域であれば、休日に出かけるレジャーにもほとんどお金がかかりません。都会では何をするにもお金がかかりますが、地方にはお金を使わずに楽しめる場所やイベントがたくさんあります。これこそが地方で暮らす醍醐味なのです。

●補助金や支援制度を活用する
地方の活性化は国と各自治体にとっても重大な課題なので、地方移住の希望者に対しては、さまざまな補助金や支援制度が用意されています。例えば内閣府による地方創生事業では、起業支援金と移住支援金を合わせて、最大で300万円が支給されます。

ほかにも自治体ごとに、子育て支援や住宅建築補助など、多くの支援制度が整備されています。移住の準備期間に詳細を確認し、活用できるサービスを見逃さないようにして、もれなく申請することが大切です。

移住はチャレンジ、でも準備は慎重に

私たちは普段漠然と、都会よりも地方での生活のほうが、お金がかからないと考えています。移住を検討する時には、家や車などの初期投資は計算するでしょうが、生活を始めてからの維持費については意外に意識の外にあるかもしれません。

しかし移住を計画するにあたっては、1カ月にどれだけの収入があって、どれだけの出費があるのか、さらに年間の税金についても算出して、収支バランスに余裕があるかどうかを検証すべきでしょう。さまざまな夢と希望を抱いて始める地方移住ですが、現実を直視しながら慎重に準備を進めることが重要なのです。

参考資料

移住アドバイザーが語る 地方移住を成功させるコツとは?|Daiwa House
https://www.daiwahouse.co.jp/tryie/column/build/rural_migration/

地方移住にはいくらかかる?公的支援金で負担軽減しよう|GLOCAL MISSION Times
https://www.glocaltimes.jp/9253

地方へ移住しよう 地方で起業しよう|内閣府地方創生推進事務局
https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html

自治体支援制度検索|一般社団法人 移住・交流推進機構
https://www.iju-join.jp/support_search/index.html

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