地域の活性化を推進する地方自治体では、地方移住者のためにさまざまな移住支援策を用意しています。支援策の内容は資金を助成するものから生活を優遇する制度まで、その種類はさまざまですが、中には家を無料で提供するという驚きの施策もあります。今回は、地方移住の重要課題と地方自治体が移住支援策を用意する理由、家を無償で提供する移住支援策を用意している自治体などを紹介していきます。
地方移住の金銭的な重要課題は「仕事」と「住居」
地方移住は、自然の多い環境で暮らせることや子育てがしやすいなど、メリットが多い反面、さまざまな課題もあります。地方移住に関わるアンケートを行うと、金銭(家計)に関わる課題として必ず挙がるのが「仕事(収入)」と「住居」に関する課題です。
仕事に関する課題で多いのは「働き口が少ない」、「都会より収入が少ない」、「希望の仕事がない」というもの。また住居を賃貸する場合の課題では「住居の空きがあるか」、「家賃は安いか」、「修繕費がかかるのではないか」などというものがよく挙がります。特に地方移住で収入が少なくなった場合、家計に占める固定費の中では家賃が一番大きな割合となるので、余計に悩みの種になるのです。
上記のような課題からも、地方自治体が移住に際し住居を無償で提供するという施策は、とても魅力的に思えます。このような支援策を含め、地方自治体はなぜ地方移住の希望者に数々の支援策を用意するのでしょうか?
地方自治体が移住支援策を用意する理由
地方自治体が移住希望者に用意する支援策にはさまざまなものがあります。その内容は地方自治体によって違いますが、支援策には以下のようなものがあります。
・子育て支援・補助金
子育てに関わり、一時金の支給やお米などの現物支給、医療費補助、出産費用補助などを支援します。
・通勤・通学支援
通勤や通学の定期代を一部負担する、通勤手段(車)の購入費用を一部負担するなどの支援策を用意している自治体があります。
・就労に関する補助金
50歳以上の人に対する就農支援や、伝統工芸の知識・技術習得を目指す人に対して奨励金を交付します。
・引越費用・家賃・修繕金補助
移住に際して都会からの引越費用や一定期間の家賃補助、修繕が必要になった場合の補助金を受けることができます。
・起業支援・税制優遇
移住後に現地で起業を行う場合、補助金が自治体から支給されます。また起業後の一定期間、税制的な優遇を受けることができます。
上記のような手厚い支援策を自治体が用意する理由には、以下のようなものがあります。
・地域の活性化
・少子高齢化防止
・過疎化防止
・産業の後継者不足解消
・税収向上
地方自治体は地域を活性化し、過疎化を防止すると共に税収なども上げていきたい意図があり、移住者を積極的に受け入れています。今回紹介する住居の無償提供は、移住者に地域に定着して貰うための支援策なのです。
住居を無償で提供する移住支援策を用意している自治体
それでは最後に、住居を無償で提供する移住支援策を用意している地方自治体をいくつか紹介しておきましょう。
・東京都奥多摩町
東京都の奥多摩町では、住民が手放したい物件を登録する「0円空き家バンク」を運営しています。この空き家バンクは、住居を無償譲渡したい住民と移住希望者のマッチングを行うだけで、あとの交渉は本人同士になります。また契約や登記にかかる費用は住居を譲り受ける人の負担となりますが、画期的な空き家バンクと言えるでしょう。
・北海道雄武町
北海道の雄武町には、町が所有する土地を移住者に無償で貸与し、一定期間住み続けるとそのまま移住者のものになるという制度があります。譲渡の条件は、土地を借りる契約を締結した日から翌年末までに住宅を建築し、住民登録すること。また土地の譲渡を受けてから10年間は転居しないことや、第三者に貸したり再譲渡しないことがルールになっています。
・宮城県七ヶ宿町
40歳までの夫婦で、中学生以下の子どもがいる家族が対象となる制度。月35,000円の家賃で対象の住居に住み続けると、20年後に家と土地が無償で譲渡されます。七ヶ宿町は宮城県で一番人口が少ない町なので、このような住居支援策で住民を増やすことを計画しているのです。
・島根県飯南町
飯南町に移住する、40歳以下の子育て世帯が対象の制度です。家賃40,000円の賃貸住宅にに20年住んだ後、その物件の所有権が譲渡されます。島根県飯南町は、住みたい田舎ベストランキングの「子育て世代が住みたいまち」で全国1位に輝いたほど魅力のある町です。現在募集はしていないようですが、飯南町のこの制度はとても人気が高いようです。
まとめ
各自治体さまざまな条件はあるものの、この支援策は都会では考えられない条件で土地と住居が手に入る魅力的な制度です。人気が高く現在は募集を一旦停止している地域もありますが、もしご希望ならば、普段から自治体のHPをこまめにチェックするようにしましょう。
<参考>
【2022年】移住すると家がもらえるって本当?無料住宅など移住支援がある自治体11選
https://fukuju-style.jp/1304#index_id14
【2022年最新版】移住で家がもらえる?家付き・無料住宅などの移住支援がある自治体を紹介!家賃無料のお試し住宅も
https://omotenashi.work/column/migrate_guide/20683
移住支援策が手厚い県はどこ?政府と地方自治体による移住施策をまとめて解説します!
https://turns.jp/56829