1ミクロン単位の金属切削加工技術を強みに、航空宇宙・自動車業界向け計測器・測定器の設計から製造、販売までを一貫して手掛ける渡辺精密工業株式会社。新規顧客の獲得や更なる業界の開拓を目指し、市場の分析、ターゲット業界や顧客の選定などの営業戦略策定を目的とし副業兼業プロ人材を活用し成果を上げています。
副業兼業プロ人材の活用に至った経緯や、どのように活用されているか等のポイントを同社代表取締役の寺西正明さんにお話しを伺いました。
創業から75年、愛知県内の企業を支え、顧客基盤も盤石だったかと思いますが、今回外部人材活用を思い立ったきっけかは何でしたか?
今、自動車業界は“100年に1度の大改革期”と言われています。自動車業界ではガソリン車がEV化することでパーツ点数は3分の2になります。単純計算すれば、お客様の数も3分の2になるということ。モノづくりも変化しています。この現状に直面したとき、我々も変化しなければと考えるようになりました。しかし、社内だけでは知見が足りず、しがらみや経験則に依存して思考しがちです。そこで外部人材のサポートが必要だと思いました。
今回外部人材の活用を検討した領域はどのあたりだったんでしょうか。
営業戦略に活用したいと思いました。我々の技術は他分野にも適用できる可能性がありますが、どこにニーズがあるかが分かりません。体系的に分析して世の中にどう打って出るかを、我々だけでは検討できませんでした。
営業戦略は自転車に例えればハンドルと前輪。後輪は製造です。製造を強化するためには、社内の管理体制や仕組みを一段高いレベルに上げないといけません。プロパー社員では心細く知見のある方を採用したいと思いました。
プロ拠点様とは具体的にどのようなコミュニケーションをとられたんでしょうか。
電話をしたらすぐに来てくださったので、我々の課題を伝えると、副業人材をご提案いただきました。リモートも可能だし、世の中は副業OKの流れだから検討してみてはどうかと。正社員採用については人材紹介会社の活用をすすめていただきました。採用の可否は面接して決めればよいと思い、お願いすることにしたのです。
人材紹介会社とはどのようにすすめられましたか。
我々の技術や商材はニッチなので理解されにくく、採用に時間がかかりました。納得できる方に出会うまで時間がかかるのは仕方がないと思います。ただ、この人が駄目でも別の方を紹介していただける安心感はありましたね。
プロ拠点からはその際はどのようなご支援がありましたか?
紹介会社の一覧をいただき、我々のニーズを汲み取って、適した会社を選んでくれました。また、やり取りが負担になるので紹介会社は3社くらいに絞ったほうがよいと教えていただきました。
副業で紹介された人材のプロフィールや経歴をご覧になって、印象としてはいかがでしたか?
すごい方が多いですね。知見を持っているんだろうなと、期待できる方ばかりでした。
面接等はどのように進められましたか?この方にしよう、と判断された決め手はなんだったんでしょうか。
リモートで面談しましたが、どの方も人柄がよいですね。我々のことを一生懸命考えてくれ、できないはできないと、しっかりと伝えてくれたので採用の判断もしやすかったと思います。最終的に我々についての理解が速く、的を射たアイデアを出してくれた方を採用しました。
正社員はご紹介いただいた中から3名に絞り込んで会いました。社員採用なので人柄や社風に合致するかなどを重視しましたね。
人材との業務の進め方、関わり方
副業人材には、契約前にプレキックオフをお願いしました。弊社のメンバーと顔合わせをし、業務内容や我々の期待値などを伝えることができました。その後副業人材とミーティングをし、キックオフ当日は人選をかためてプロジェクト活動のスタートを切りました。
副業人材の自宅が会社から車で1時間なので、リアルで仕事をしていただくことがほとんどです。展示会などの情報を提供してくれるなど、人件費以上のことをしてくれています。
副業人材が参画したことにより、どのような変化がありましたか?
副業人材を顧問として採用し、プロジェクトチームを立ち上げたことは、社員にとってインパクトが大きいようです。プロジェクトメンバーに選ばれなかった社員は残念がり、選ばれた社員はモチベーションを上げています。会社が活性しますし、毎日同じような業務を繰り返している方の刺激にもなりますね。プロジェクトを全社的に共有する勉強会のアンケートを見ても、「そんなことやってんだ…」といった声もあり、全社的に効いてると思います。
今後、副業兼業人材活用を検討される企業へのメッセージ
愛知プロ拠点を活用することで、通常出会えないような人材に恵まれることがあります。定量的な成果が出なくても、社風を変え、社内的に関心をもってもらえる副次的な効果もあると思います。副業兼業人材は長期で雇用する必要がなく、採用のハードルも金銭的なハードルも低い。必要ないと思えばやめてもいい。求める人材に出会うまで、ある程度時間がかかることもあるので、思いついたらすぐ試してみるべきだと思います。