子どもにより良い環境で育って欲しいと願うのは、子を持つ親に共通する考え方でしょう。特に学童期(12歳まで)から思春期(18歳まで)にかけては、身体も心も大きく変化し、子どもの将来に大きく影響を与えるとても大切な時期です。近年、このような時期に子どもの教育環境を考え、地方へ移住をする人が増えています。これは教育移住と呼ばれますが、子どもにとって、また親にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか?今回は教育移住の概要から、そのメリットやデメリットについて解説していきます。
教育移住とは?
冒頭で近年は教育移住が増えていると書きましたが、これは「国内版教育移住」とも呼ばれているもの。実は教育移住そのものは、かなり以前から行われています。たとえばグローバルな人材に育って欲しいと、わざわざ転居し子どもをアメリカンスクールに通わせる場合や、海外に移住することなどが従来は教育移住と呼ばれていたのです。このような教育移住も近年増えている国内版教育移住も、子どもの教育環境をより良いものに変えることを目的として行われるものです。では近年増えている国内版教育移住とは、どのようなものなのでしょうか? ※以降は国内版教育移住を、単に教育移住と表します。
国内で増えている教育移住
近年増加傾向となっている教育移住は、主に都会から地方へ移住する教育移住です。たとえば首都圏や関西圏から地方都市、もしくは地方都市の郊外に移住をするのです。教育移住の目的は、子どものためにより良い教育環境が整った地域に移住することですが、都会から地方へ移住することによって、子どもの教育にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
教育移住のメリット・デメリット
教育移住のメリット
・ 自然豊かな環境で子育てができる
教育移住で一番メリットを感じる点が、自然豊かな環境で子育てができることでしょう。都会では自然の多い公園に行くだけでも時間がかかり、休日にわざわざ時間を取って出かけなければ、自然と触れ合うこと自体が難しい場合もあります。また呼吸器系に問題を抱えているお子さんの場合、空気のきれいな地方で暮らすことによって症状の改善も見込めます。
・ 子どもの個性に合わせて教育内容を選択可能
都会では生徒数が多いこともあり、特に義務教育の現場では画一的な教育になりがちです。地方であれば、その子の個性に合わせて「運動が好き」、「昆虫が好き、」「草花を描くことが好き」など、その子どもが持つ特性に合わせた教育内容を選択できます。
・ 地域コミュニティーの中で子育てができる
地方移住において「濃すぎる人間関係が苦手」という人もいるのですが、子育ての場合は地域のコミュニティーが強い味方になります。急な外出になってしまった時には預かって貰うこともできますし、地域の安全に関わる情報などもすぐに耳に入ります。特にほとんどの人が顔見知りというコミュニティーの中では、不審者情報はすぐに話題となります。地方では、子育ては全員で行うという意識がまだまだ強いのです。これは子どもにとっては、この上なく安全・安心な状況と言えるでしょう。
教育移住のデメリット
上記のように教育移住や地方移住には多くのメリットがありますが、地方に移住するということは地方ならではの事情によるデメリットも発生します。
・ 受験・進学への不安
都会と地方の学力差については、インターネットを使った塾や予備校も増えているので以前ほどは無いと言われています。ただし、受験と進学については多くの親が不安を抱いているのが現状です。そもそも地方には教育機関(特に高校・専門学校・大学等)が少ないので、希望の学校に進学するためには地方都市や都会で一人暮らし(もしくは再移住)をする必要があります。これには経費も多くかかるので、教育移住では一番のデメリットといえるでしょう。
・ 習い事の数が少ない・選択肢がない
地方ではそもそも人や子どもの数が少ないので、習い事の数も少ない傾向にあります。都会によくあるような習い事は一通りあるかもしれませんが、都会のように同じ習い事の教室を好みで選ぶ、という環境にはありません。また習い事に通うにしても、自動車での送り迎えが必須となる場合もあります。
・ 生活の利便性低下や生活費の上昇
これは子育てとは直接関係ありませんが、地方での生活には自動車が必須となります。食材や日用品の買い物、塾や習い事への送り迎えなど、都会では自転車で済むものが地方では距離の問題から自動車で行うことになるのです。特に車のガソリン代やタイヤ、オイルなどの消耗品は家計を圧迫します。地方では都会に比べ、利便性が下がるものとコストが上がるものがあるのです。
まとめ
教育移住によって得られるメリットには、豊かな自然や子どもの個性に合わせた教育環境、安全な日常生活など、都会では決して享受できないものがあります。一方、習い事や受験、進学には少なからずデメリットもあります。大切なことは一回移住したからといってその生活をずっと続けるのではなく、子どもの成長に合わせて臨機応変に変化させていくことではないでしょうか。
<参考>
盛り上がる「教育移住」。自然保育、無料塾、こだわり給食で子育て世代が移住中
https://inakagurashiweb.com/archives/17059/