子育て世代の地方移住支援金が大幅に増額!支援金の拡充で地方移住は増えるのか?
GLOCAL MISSION Times 編集部
2023/02/11 (土) - 18:00

政府は、2015年度から推進している地方創生移住支援事業で支給する「地方移住支援金」の拡充を発表しました。具体的には子育て世代が地方移住をする場合の支援金を増額するのですが、この拡充には「場当たり的」や「単なるバラマキ」との批判が多く聞かれます。支援金は一体どの程度増額されるのでしょうか?また果たして、それは地方移住に効果的なものなのでしょうか?今回は、地方移住支援金の概要から増額の内容などについて解説していきます。

地方移住支援金とは?

冒頭でも書いたとおり、政府は2015年度から地方を活性化させる事を目的とした政府主導の事業として地方創生事業を推進しています。この事業は「地方での雇用創出」や「地方に対する人の流れづくり」、「若い世代の希望実現(地方での結婚や子育て支援)」、「時代に適した地域づくり(地域の活性化や地域同士の連携)」を基本施策として進められており、地方移住支援金は「地方での雇用創出」の一環として用意されているものです。

移住しようとする人が地方移住支援金を受給するには、以下のような条件をすべて満たさなければなりません。

移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区内に在住または東京圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、条件不利地域を除く)から東京23区へ通勤していた人。

またこの期間内に学生の期間が入っている人は、通学期間も対象期間に加算可能。ただし東京圏(条件不利地域を除く)に在住しつつ、東京23区内の大学等へ通学し東京23区内の企業等へ就職した人に限る。

※条件不利地域とは、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く。)

また移住後の就業の内容にも条件があり、移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている企業に就業することやプロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること、市町村が独自に定める支給要件を満たすことなどが求められます。

従来の地方移住支援金

上記のような要件を満たした人には、単身の場合は60万円以内で都道府県が設定する額、世帯の場合は100万円以内(ただし18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合は、18歳未満の者一人につき最大30万円を加算)が支給されていました。

23年度から地方移住支援金を増額

上記のような要件にしたがって支給される地方移住支援金を、政府は2023年度から増額します。従来は18歳未満の子どもを帯同した場合の加算額は、子1人当たり最大30万円でしたが、これを100万円に引き上げるのです。

目的は地方の少子化防止

この増額の目的は「地方の少子化防止」。つまり子どもを帯同して地方移住する世帯を増やし、地方の少子化対策とすることが支援金増額の目的なのです。政府は増額によって教育費の負担軽減にもつながるとしていますが、このような増額は果たして効果的なのでしょうか?

場当たり的な対応だという批判も

この政府の発表に対し、「場当たり的な対応で少子化対策にならない」や「単なるバラマキで効果は限定的」との批判が多く聞かれます。確かに地方移住支援金は移住時に一回のみ支給されるものですが、子育ては長い期間にわたって続きます。本当に必要なのは、地方で子どもを育てたいと思ってもらえる継続的な支援策や、地方での子育て環境の整備だと思われます。

たとえば子どもの医療費や教育費の無償化、待機児童のゼロ化、ひとり親家庭のへの支援などです。これらは現状、地方自治体が独自に行っている場合がほとんどで地域によって差があります。これらを国として統一の支援策として打ち出すことなどが、本当の意味での少子化対策につながるのではないでしょうか。

また地方移住に関して言えば、親の世代にも地方移住の課題となっている仕事を増やす工夫、住居を借りやすくする工夫などが求められます。当然のことですが、地方であれ都会であれ、生活は一時ではなく長く続きます。支援策は一時的なものでなく継続的に行ってほしいものです。

まとめ

自然の多い安全な環境で子育てをしたい、と考える方は多くおられることでしょう。それだけに地方移住を国として応援するなら、また地方の少子化に歯止めをかけようと考えるなら、親が地方で子育てをしたくなるような抜本的な支援策を期待したいものです。ただし国としてこのような支援策を統一的に行うには、もう少し時間がかかることでしょう。現状では移住しようとする地域をよく調査し、継続して子育てに寄与する施策を行っている地方を選んでいきましょう。

<参考>

【移住支援】23年度から移住支援金が子育て世代へ大幅に増額されます!
https://turnup.tokushima.jp/news1/ijyu-shienkin

地方移住支援 子どもへの加算金 1人100万円に増額の方針 政府
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230108/k10013944471000.html

子1人100万円のバラマキで地方移住するほど国民はバカではない。「子供の未来を考えれば、あえて都市部から離れる理由がない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/115d017af6750af5b534d1c8c18aeaa57ac0d498

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