新卒時に理系の勉強をしておらず、事務管理や営業などの仕事に就いた人たちのなかで、以前からやりたかった「手に職をもち、ものをつくる仕事に転職したい」という人の相談が増えています。未経験からそのようなことは可能なのか、方法を紹介しましょう。
ものづくりの仕事への転職の現状
「ものづくり」とひとことでいっても、IT系のソフトウェアもあれば、機械の製造、建築、食品、化粧品、伝統工芸等々、業種は多岐に渡ります。「手に職をもって自分がそれで食べていけるようになりたい」という志望の場合、技術系職種で、将来その技術を他の企業の仕事やフリーランスでも使えるような仕事に就けるかどうか、という観点でお伝えしていきます。
現状、業種によっては、それは可能です。少子高齢化、景気が回復状況にあるということもあって、就職、転職市場が非常に売り手市場の現在、多くの職種や業界で人手が足りない状況があります。
まず需要が多いのはIT系
まず、需要が多い「ものづくり」の職種は、IT系のシステムエンジニア、プログラマーの仕事です。この仕事は、新卒の段階でも文系理系区別なく応募可能、という内容で幅広く募集がされていますので、最初の垣根が比較的低いことはみなさんもご存じかもしれません。あらゆる業種でITネットワークが必要ないまの世の中ですし、長時間の勤務になることも多く、辞める人も多い職種でもあるため、求人は常に出ています。
土木建築系の仕事も需要が高い
また、もう1つ需要が多い「ものづくり」の仕事は、土木建築の現場の仕事、機械工場の仕事などです。東京オリンピックの開催に加え、あちこちで古くなったインフラの整備が必要になってきているいま、土木建築業界については特に求人の需要が増えていますし、中小企業が多い機械や部品などの工場も、金型職人のような高い技術をもつ人たちがどんどん退職していく世代になっており、その後を継いで働いてくれる人を求めている場合が多くあります。
未経験でもなれるのか
では、まったくの未経験でもその仕事に就くことはできるのでしょうか。普通に大手の転職サイトなどを見るだけだと、こういった職種の募集には「経験者」と書いてあることが多いと思いますが、30代ぐらいまでは、未経験でまったく技術を学んだことがなくても1から教える、という企業が最近は増えています。
特に建設系の内装工事等の仕事、製造系の中小企業の工場での溶接などの仕事は、なり手の希望がそう多くないこともあってねらい目です。ただし肉体的にキツいこともあるので、どちらかというと男性のほうが歓迎されるのは事実です。
学校や訓練、企業内の研修で学ぶこともできる
「ものづくりに携われ、手に職をつけられる」ということでは、CADを使った仕事も現在需要が高いといえます。インフラ系の修理保全や建設系などにAUTOCADで図面を描くことは欠かせない技術になっているためです。専門学校で技術を学ぶのが最も速く、確実な方法ですが、特に建築系などでは、初心者でも1から企業で研修し、数カ月学んだ後に現場に入ることができる、40代や50代でも可能な場合や、まずは先輩のアシスタントから始める、という募集をしているところも多くあります。
このような求人は、大きな転職サイトにはなかなか載っていないかもしれません。ハローワークなどの公共の求人、はたらいくのような地元密着型の、中小企業がよく使うサイトの求人を探したほうがよいでしょう。
また、職業訓練で学ぶこともできるので、ハローワークに出かけてみて情報を得るとよいでしょう。IT系のネットワーク構築、WEBのプログラミングなども同様に訓練で学ぶ方法もあります。「学校に行くほどは資金をかけられない」という人は検討してみてはどうでしょうか。
伝統工芸職人の仕事も
さらに伝統工芸職人の仕事についても、辞めていく高齢の方の後継者を求めている所があります。多くはないかもしれませんが、現在では四季の美、日本仕事百貨などのようなサイトでネットでの募集を探すこともできます。
まとめ
このように、社会人になってから転職で未経験のものづくりに関わる仕事に就くことは不可能ではありません。確かに技術を身に付けなくてはならないですし、学びが必要です。また、収入面でも未経験から始めるので、一旦は低くなる怖れがあります。しかし、みなさんが「手に職をつけて何かをつくることに関わりたい」という志望のほうを優先するのなら、いまは非常にチャンスが多くなっているときです。はじめから長年の思いをあきらめず、まずはどんな方法があるか、調べて検討してみてはいかがでしょうか。