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北海道共創パートナーズ(以下、HKP)は、2017年9月、株式会社日本人材機構と北洋銀行が協力して立ち上げた、経営コンサルティング会社。北海道企業が抱える経営課題に対し、財務や人材を中心に「伴走型支援サービス」を提供しています。
地方創生の最先端を走り続けるスペシャリストたち4名に、北海道経済の課題と可能性、HKPが果たすべき役割と、首都圏人材に対する期待について語り合っていただきました。
*2019年8月に公開された記事の編集です。役職は当時のものです。
これまでになかった伴走支援型サービス
北海道共創パートナーズ(HKP)は、地方企業の本社機能を代行・補完しつつ、戦略策定、組織制度設計、経営幹部の人材採用などの潜在的な課題を掘り起こし、解決策の検討・実行・フォローアップまでの一貫して推進。
地方企業の本質的な課題と向き合い、社員1人ひとりが経営者のパートナーとして介在することで、これまで、銀行やコンサルティング会社が実現できなかった「伴走型支援サービス」を行っています。
なぜ、北海道にHKPが必要だったのでしょうか。KHPを設立した背景を伺いました。
「多くの地方企業とお取引をしているなかで、経営リテラシーを備えた経営陣の層の薄さを感じていました。」そう語るのは、竹内 巌氏(北洋銀行取締役副頭取・HKP取締役会長)です。
銀行員を派遣しても専門性が不十分で、外部のコンサルではコストがかかりすぎます。この課題をなんとか解決できないかと考えていたとき、日本人材機構の小城社長から「首都圏のプロフェッショナルな人材と地方企業を結びつけて支援する事業を一緒にやってみませんか」と誘われたのだといいます。
プレゼンに心が動かされて、トライしてみる価値があると判断した竹内氏。その場で「やりましょう!」ということになり、話はトントン拍子で進むことになりました。
北洋銀行取締役副頭取・HKP取締役会長 竹内 巌
日本人材機構が、パートナーとして北洋銀行を選んだのには理由がありました。
「日本人材機構の役割は、首都圏の経営幹部の人材が、地方の中堅企業のオーナーの右腕として入る仕組みを作ることです。どのように作ろうかずっと考えてきました。」と小城武彦氏(日本人材機構 代表取締役社長)。
企業に適切な人材を紹介するためには、事業内容をよく理解している地方銀行の力が必要だろうという答えに辿り着いたといいます。「全国の地銀行脚を始めたところ、一番早く理解をしていただけたのが、北洋銀行さんでした。」
日本人材機構 代表取締役社長 小城 武彦
北海道内における北洋銀行のシェアはダントツトップ。「首都圏の人材は、地方企業の存在も名前も知りませんが、銀行が間に入っていることで安心します。人の流れを変えるいちばんのポイントは、地銀さんと手をつなぎあうことだと考えています。」(小城氏)
北海道のビジネス環境の課題は?
北海道のビジネス環境や地方経済の現状はどのように感じているのでしょうか。
「北海道は開拓者精神にあふれている地域ですが、産業においては、構造が旧態依然としている感があり、開拓者精神がいつの間にか薄れているように思います。つまり、恵まれた環境を活かしきれていないのです。」(竹内氏)
「北海道は自然環境や食において大きなポテンシャルを持っているにもかかわらず、モノに付加価値をつけて高く売ることが苦手で、商売が下手。外部からの知恵が必要で、コンサルが活躍できる余地はたくさんあると思います。」そう、竹内氏は続けます。
「北海道に眠るポテンシャルを目覚めさせるのはそんなに難しいことではなく、少しの知恵です。」そう語るのは小城氏。「適切な人が適切なタイミングで適切な人に提供することで花開くのに、それをやる人がいなかっただけ。」その点、北洋銀行がHKPを通じて第一歩を踏み出したことは大きいといいます。
「北海道は業歴が浅く、家業に近い会社が多い。外部からのアドバイスを聞いたことがない会社や、ポテンシャルに気づいていない会社が多いのが実態です。そのスイッチを押してあげることによって、潜在力を引き出せると感じています。」と小鹿 智史氏(HKPコンサルタント)。
HKPコンサルタント 小鹿 智史
HKP代表取締役社長 岩崎 俊一郎
HPKの役割はポテンシャル顕在化のサポート
さて、実際のHKPの活動を通して、中小企業は相談相手を潜在的に求めていることを強く感じたというのが小城氏です。
「こんなにニーズがあるとは思っていませんでした。相談相手だけでなく、パフォーマンスをあげることができたら、会社も伸びていくはずです。地方企業には“のびしろ”があると感じました。HKPの役割はまさにそういうポテンシャルを顕在化させるところにあるのです。」(小城氏)
「リピートしてくださるお客様も多くいます。我々がどれだけ汗をかくチームなのか、一度働きぶりを見ていただければ、信頼関係を築き、いいプロジェエクトができあがっていく手応えがありますね。」(小鹿氏)
たとえば、ある医療機関はこれまで街の声を聞いたことがなかったため、アンケートやインタビューを行ったところ、この医療機関に対する期待感が大きいことが見えてきたといいます。「それに気づかなければ、職員は期待に応えきれないし、経営陣は進むべき方向が見えません。職員たちは自分たちの声を、HKPを介して経営陣に伝えてほしいといっています。こうした取り組みは地方の雇用の維持にもつながると思います。」
真の課題や自分たちの強みには気づいていない経営陣は少なくなく、そこにHKPが入って客観的な視点を持ちながら「伴走」することに意味があると岩崎俊一郎氏(HKP代表取締役社長)はいいます。
「地方企業もHKPも小さく、プロジェクトも少人数。HKPの1人の力量がその企業の命運を変えてしまうぐらいのインパクトがあると思います。ひとり一人の真価が問われるので、かなり緊張感の高い仕事だと思います。」(小城氏)